夏の記憶
かんた
有川浩 『海の底』
これから、自分の読んだ作品を不定期で布教していきます。
記念すべき第一作目は、有川浩さんの『海の底』です。
この小説は、自分が中学生の時に、朝の時間で生徒が読書をするという時間があって、そこで初めて親に買ってもらった小説です。
それまで自分はあまり小説というものに触れてこなくて、もっぱらマンガばかりを読んでいたのですが、この作品を読んで小説というものに引き込まれるきっかけとなった作品です。
単行本としては平成21年に角川文庫さんから初版発行されたもので、今となっては新しいものではありませんが、素晴らしい作品です。
作品のあらすじとしては、横須賀へと巨大ザリガニの大群が襲来して、それを警察、自衛隊が撃退、殲滅するというものです。
そして、警察、自衛隊側からの視点のみでなく、避難する際に内陸側へと避難することが出来ないと判断し、近くにいた民間人の子供たち13名を連れてちょうど横須賀基地へと停泊していた潜水艦へと逃げ込んだ、13名の子供たちと、引率していた二人の若い自衛官の、潜水艦内へと引きこもってから脱出されるまでの、大まかに二つの視点から物語は進められていきます。
警察、自衛隊側からの視点の主な見所は巨大ザリガニを撃退、殲滅するまでの動きや対応をしていくのかといったところで、かなり細かく描写されている上に分かりやすく書かれていて、実際に自分がその場に居て現場を見ているかのように緊迫感を味わえるようになっています。
もう一つの視点、潜水艦内からの視点では、脱出するまでの期間、学年も様々な、中には思春期の男女がどのように生活し、何を教えられて変わっていくのかといったことが見所だと思います。
そして『海の底』に限らず、有川さんの作品において、私が最も見て欲しいと思うのが、様々な感情が入り乱れる中での、恋愛感情を持った登場人物をしっかりと見て欲しいのです。
海の底では、潜水艦という限られた空間での、助けてくれた自衛官に対しての、自分たちも大変な中でも細やかに気遣ってくれたり、共に時間を過ごす中で見えてくる不器用ながらも情に篤く、厳しい中に見える優しさに惹かれていく女の子、その女の子へとはっきりと自覚はせずに屈折した感情をぶつけてしまう男の子を、ぜひともしっかりと見て欲しいのです。
私は、中学生の時に手に入れてからこれまで、何度となくこの作品を読んできました、いや、この作品に限ったことではなく、有川さんの作品は自分にとって、思春期の大事な頃に何度も読み返し、そして今でも何度となく読みたくなる素晴らしい作品なのです。
ネタバレしないように、と思って書いたので、上手く魅力が伝えられているのか自信があまり無いのですが、もしも興味を持った、面白そうだと思ってくださった方は是非とも読んでみてください。
そして、感想を是非とも語り合いたいですね。
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