澱口襄(筒井康隆『霊長類南へ』)

 冷戦真っ只中にしてベトナム戦争時代に書かれた、核戦争で人類が滅亡する時の性と死を扱ったSF。


 行き残った世界のお偉方は少しでも死の灰から逃れようと南半球へと飛び去っていく。残された市民はというと、どうせ、滅亡するんだから、(性的な意味で)ヤッちゃえ~となっていく。

 人類最後の日、あの子もこの子も大丈夫か?!というテンプレを確立した作品の一つなのかもしれない。



 そうした中、最後まで人間らしくあろうとする主人公について、他の作品のようにおちゃらけた描写を作者は控えている。


 本作はインターネットも電脳世界も拡がる前の核戦争の話だが、本作を読み終えた僕は、遠い(あるいは近い)人類滅亡後の電脳世界はどうなるのか、と少し想像を始めてしまった。

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