1094. やってきた子どもたち

 お昼を過ぎ、しばらくすると子どもたちがやってくるようになりました。

 どうも朝に来た子どもから話を聞いて集まって来たようですね。

 やっぱり口コミって大事です。


「うわぁ。聖獣様がいっぱいだ!」


『よく来たな。さあ、なにをして遊んでも構わないぞ』


「本当になにをしても構わないの?」


『危険なことだけは止めてもらいたい。我々がいるのですぐに治療できるが、それはそれだ』


「よーし! 戦闘訓練をしようぜ! 普段は止められるからな!」


 なるほど、それは止められるでしょう。

 このくらいの年齢の子どもたちだけで戦闘訓練などやっても、ただ殴り合いをするだけになります。

 ですが、今回は聖獣たちがいるので大丈夫でしょう。

 こういうことは安心できそうですね。


『戦闘訓練か。ならば、もっとも大切なことを鍛えてみるつもりはないか?』


「もっとも大切なこと?」


『足腰の強さだ。逃げるにしろ追いかけるにしろ足が速くなければ意味がない。それに、すぐに疲れてはだめだ。毎日走り込んで少しずつ鍛えていくようにしなくてはな』


「なるほど、ただ腕っ節が強くなればいいのかと思ってた!」


『ケンカが強いだけの連中は死にやすい。生き残りたければ脚を鍛えろ』


「わかった! お前ら、走るぞ!」


「うん!」


 戦闘訓練をするつもりだった男の子たちは、聖獣に説得されて走り込みに内容を変えました。

 あれなら危なくないですし、一緒に聖獣も走っているので問題が起こることはないでしょう。

 ほかの子どもたちはなにをするつもりでしょうか?


「あの、ほかにはどんなことができますか?」


『そうだな。あっちの建物の中に老人が待っている。その者たちならいろいろと学べるのではないだろうか?』


「お料理とかも学べる?」


『なんだ、料理がしたいのか?』


「うん。講習会で習って家でも練習したかったんだけど、お母さんたちがだめだって」


『その程度であれば問題ないだろう。行って話を聞いてみるといい』


「うん。ありがとう、聖獣さん!」


 女の子たちも去っていきましたね。

 どうやら、今回来た子どもたちは、この2グループに分かれていたようです。

 聖獣たちも空振りといったところでしょうか?


「あまり子どもたちが来なくて残念でしたね」


『なに、初日から大量に来てくれるなど考えていない。ひとりも来ないので朝は不安になったが、遊びに来てくれる子どもたちがいることがわかったのだから、あとは増えていくのをのんびりと待たせてもらう』


 聖獣もまたのんびりと達観しているようです。

 焦らず待っているのはいいことだと思いますよ。

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