月のとなりで
ンガェヒゥ
しゃぼん玉に口づけを
こわれてはじけて消えてゆく
ひとりいたづらに鐘を鳴らし
周りのすべてを透過して
勿忘草にはいとりないて
鐘の鳴る間に消えてゆけ
こわれてはじけて消えてゆけ
心に歌はなかった。唄うことは出来ずに、詞をただ吐き散らしているだけだった。云いたい事など無く、伝えなければいけないことも無かった。きっと、伝えたい言葉は無かった。一人の存在なんてどこまでもちっぽけでこの世界に望まれたモノなどきっと一つもないのだ。
だから私が一人消えようが関係ないはずなのだ。それなのに、彼女たちはきっと悲しむだろう。突然のむなしさに耐えきれずないてしまうかも知れない。自惚れでなければ、きっとそうだ。そしてそれは、とても哀しいことだ。
人はかなしいことを忘れる生き物だ。そうして何れ、何を忘れたのかすら思い出せなくなる。そしてついにはどうでもよくなる。それはとても虚しいことだ。
虚無のむこうには有限が広がり、その先はまた幽玄が待つ。
こわれてはじけて消えてゆけ
独り待つ間のさびしさよ
過ぎる松葉に寂れゆく
声過ぎるとき後退り
こわれてはじけて消えてゆく
蒼空に過ぎゆく虹色に
こわれてはじけて消えてゆけ
終ぞ声は音もなく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます