新アジア主義

Brain B.

都市アイデンティティ論

私は〈ASIAのあるべき姿〉について考えてきました(拙著『こんなにおもしろい行政書士の仕事』(中央経済社)参照)。


これは、「世界平和」について考えるよりも具体的かもしれませんが、十分に抽象的であり、むしろ「世界平和」よりも摑みどころがないかもしれません。


かつて「ASIAのあるべき姿は何でしょうか?」と数十年間衆議院で議席を有している国会議員に質問しました。


その時の答えについては、ここでは具体的に書きませんが、私にとって十分に納得できるものでした。


さて、私は、これからのASIAにとって最重要となる視点は《都市アイデンティティ》だと考えています。


以下が、その理由です。


まず、外国人は、《国》レベルで見ると日本人とは異なるのは当然です。そもそも、外国人の定義は、「外国人 日本の国籍を有しない者をいう。」(入管法第2条)です。


しかしながら、東京都に住んでいる外国人は、法律上も我々日本人はと同じ「東京都民」であり、さらに豊島区に住んでいれば、「豊島区民」となります。



したがって、この点においては、我々日本人と外国人は、同じ目線で向き合うことができます。


これが〈ASIAのあるべき姿〉への第一歩になるのではないか、という感触を得ています。


つまり、ASIAというのは、【国】が出てくると、そこにはすぐには越えることができない【壁〉が顕在化します。


その【壁】の高さと存在感、そして強さは、見る者の心を打ち砕きます。


よほど強い信念を持っている人でも、その強さを保ち続けるのは容易ではありません。


一方、例えば、東京都と北京市は姉妹都市であり、その他にも多くの日本の自治体が、アジア各地の都市と姉妹都市提携を結んでいます。


また、現在最悪と言われている日韓関係において開催された『東アジア文化都市2019』においても、日本(豊島区)、韓国(仁川広域市)、中国(西安市)がそれぞれの文化を通じた健全な《外交》を繰り広げました。


【公式】https://culturecity-toshima.com


このことから何が見えてくるか。


それは、まずASIAは【都市】レベルでの結びつきを強めていき、それを国レベルまで引き上げて行くという方法論です。


さらに突き進めれば、


【国】というアイデンティティとともに、


【都市】というアイデンティティを持つ❗️ となります。


具体的には、


東京都民である中国人と


北京市民である韓国人、


ソウル市民であるモンゴル人、


ウランバートル市民である香港人、


香港市民であるベトナム人、


そして、フエ市民である日本人が、


それぞれの【都市】のアイデンティティをもって交流する。


【国】のレベルで考えれば顕在化する様々なーー


歴史問題、


一国二制度問題、


台湾問題等


ーー様々な【壁】に肩や足を取られることなく、


我々は、ASIAという大きな視点で、自由に動くことができるのではないでしょうか。


ASIAにおける都市外交の活性化と都市アイデンティティの確立


これが、私が考える〈ASIAのあるべき姿〉の第一歩になります。


「日本🇯🇵にとってのASIA」ではなく、


「ASIAにおける日本🇯🇵」という視点。


この視点が、日本🇯🇵の国益、ASIAの発展に資するのではないでしょうか。


【国】には、明確に内と外とを明確に区別する出入国管理手続がありますが【都市】にはありません。


法的及び地理的な枠組みは、都市にも存在していますが、それは心理的な障壁となりません。


【国籍】と違い【都市籍】(住民登録)は、少なくとも日本等においては、日本人及び外国人両者ともに自由に変更可能です。


誰しもが自由に好きな都市に住むことができ、当該都市のアイデンティティを形成する機会を得ることができます。


国が出れば、〈エゴ〉が出る。


都市が出れば、〈意味〉が生まれる。


だからこそ、都市アイデンティティが、ASIAの発展に大きく寄与すると考えます。


最後に、東北大学教授として日本の戦前前後ともに日本の社会学界を牽引した新明正道先生のご著書から引用します。


『日本人の高邁な精神も、現実的な見通しによって基礎づけられた政策を缺く場合には一場のお人好しとして軽くあしらはれることになるであろう。


我々は狭隘な日本人に成りたくはない。


我々は東亞的なすくなくとも日支を包越するほどの大きな精神を有った日本人になりたいと思うが、これが決して好人物的な日本人となることを意味するのでないことは心得て置くべきである。』


新明正道,1941,『思想への欲求』三笠書房


【参考書籍】近藤秀将著『外国人雇用の実務〈第3版〉』(中央経済社)

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