生粋の地味子、コミュ障で「好き」って言えない。それとおっぱいが大きい。

藍坂イツキ

その1「告白したら即堕ちした」


 僕の名前は鈴木翔すずきかける


 どこにでもいる高校1年生だ。学業はまあ普通、日々サッカー部にてそこそこ陽キャな高校生活を送っている。


 活動を中心に幅を広げていた友達の輪もそれなりに大きくなってきて、顔もそれなりに知られるようにもなった。


 中学の頃、芋男子だったのがまるで嘘のよう。しかしまあ、現実でそうなっている以上、本当なのだろう。


 そして、高校での1年はあっという間に過ぎていき、今年の春で進級、晴れて2年生になるのだ。


 しかし、そんな俺がまだ達成していないことが一つある。


 成績トップ? いや違う。

 全国大会出場? いや違う、てか別にいきたくねえ。


 それなら、友達? それはもう達成した! 俺は芋男子ではなくてな!!


 じゃあ…………


 そう、その通り。

 俺にはまだ、初彼女がいない!!


 所謂、彼女童貞ってやつだ!

 彼女いない歴=年齢の典型的なパターンだ!!


 だからこそ、今年、高校生で一番楽しい時期である2年生で達成すべき目標は「彼女を作る!」なのだ!!



 と意気込んでいたのだが……進級して直ぐの登校日。俺はその目標を達成することになったのは……この時はまだ知らなかったのだろう。


「おはよっ、カケル!」

「お、今日も早いなぁーーカケ!」


 教室に入ると見知った顔があった。


 同じサッカー部に所属する高峯出流たかみねいずる、ちなみにポジションはボランチ、ミットフィルダーだ。あ、言ってはいなかったが俺は右サイドバックだ。


「ん、おお、久しぶりだな出流!」


「おう! つっても一昨日ぶりだがな」


「ははっ、そうとも言う〜〜」


 俺たちが和気藹々と話していると、もう一人。ジトーっと冷たい目で睨んでくる。


「ねぇ、なんでうちには無視するのぉ〜〜!!」


「ん、あぁ、いたのか楓!」


「いたよ!! ずっといたよ!! 私は1億と2000年前から待ってたよっ!!!!」


 どこかで聞いた言葉。

 ふと考えてみると、すぐさま思い出される歌詞。



「「アク◯リオン!!」」


「お、正解正解っ!! 知ってた?」


 先程までのジト目はどこに行ったのやら。自分の好きな歌や話になると直ぐに機嫌が良くなる女子こと、藤崎楓ふじさきかえで


 水泳部の現エース。

 中学の頃は全道大会に出たことがあると言う完璧な水泳星人である。他のスポーツも得意で、休日は俺たちとサッカーをしたりするようなくらいには仲のいい女子友達だ。


 可愛いのはもちろんだが、口調が男すぎて中々好意を向けられないのが悲しいところ。


 正味こいつは百合しててくれた方が個人的には嬉しいし、似合っていると思う。本人に言ったら殺されそうだから言ってないけど。



 とまあ、そんな彼女の肩にさり気なく手を置きながら、グットポーズを決める出流も出流ですごいと思う。


「知ってて当然だな! むしろ義務教育!」


「ほんと、出流の言う通りよ!」


 午前8時10分。

 3階、2年6組教室の一角で騒ぐ俺たち。


 中学生の俺ならその後ろの方でシャーペンをカチカチと鳴らしながらイラついているところだったが、今は努力した甲斐あって真逆の立場なのだ。



「いやぁ、それにしても出流と楓がいてよかったよ、まじで」


「ははっ、ほんとだね! うちも二人がいなかったら少し辛かったよ〜〜」


「お前らはそうかもしれんが、俺は友達多いから大丈夫だぞ?」


 ニヤニヤしながら地味に自慢する出流。


 うざったいが残念ながらそれは本当だ。見た目から察するに俺のような紛い物な陽キャラとは違って、出流は本物である。


 女子友達も何人もいるし、部活も何個か掛け持ちしていて後輩からの信頼も厚い。バレンタインにも2桁のチョコをもらうくらいには人気の男子だ。


「まったく、ぐうの音も出ん」


「いやぁ、やっぱり訂正しようかなぁ。出流じゃなくて、翔がいてくれてよかったなぁって」


「おいおい、冗談だって!! な、な!?」


「お、あの出流が焦ってる」


「焦ってはねえ!!」


 唐突に始まる茶番。


 そんな劇も直ぐに終わり、いつのまにか終わり、授業が始まった。


 授業は直ぐに終わり、昼休み。

 二人は用事があると教室を抜け出し、俺一人。


 まぁ、たまには一人もいいだろうと自分の席で弁当を開いたその時。


 事件は起きた。


 そう、俺の隣の席。

 窓際の列、後ろから2番目。

 最高とも言える位置に座っていたと目があったのだ。


 黒髪のショートボブ。

 そして、まん丸な黒縁眼鏡からこちらを見つめる漆黒の瞳。


 芋感漂う容姿に、ほのかに香る本物かわいさが俺の萌レーダーに引っかかる。


 加えて、決して巨乳好きではない俺すらも虜にされそうなセーラー服のリボンを押し上げ、生地をぱつぱつにさせる胸。



 まさに、理想。

 俺が欲する……最強で最高の地味子と目があったのだ。



「好きです」


「……へ?」


「好き、俺、君に一目惚れしました。付き合ってください!!」


「ぁ……えっ!? ひゃ……ぁ、ぅ……ぇ、い、や……ぇ?」


 目の前で驚きのあまり、顔が紅潮した彼女。しかし、俺はもう、我慢できていなかった。


「好きです!!」


 そして、教室中に響く声。

 羞恥心などどこかに消えて、俺は精一杯の告白を叫んでいた。


「……ぉ、ぉ……おおお、おねg、おねがい、しまひゅっ!!」


 そして、カップルが誕生した。





 追記:人気が出てきたので毎日投稿していきます。皆様のフォローや応援で一日に投稿していくかもなので、是非☆評価、レビュー、フォロー、応援コメントなどなどよろしくお願いします!!




  

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