タゴサクと魔法の階段
昔むかしのタゴサクのお話。
ある日、タゴサクのところに行商人がやって来た。
「タゴサクさん、貰ってほしい物があるんですが」
そう言って、取り出したのは、四角い箱。
「魔法の階段です。ちょっと訳ありでして……」
行商人が言うには、この魔法の階段という箱?というか台? 目をつぶって台に上がると、その先に階段が現れるそうな。目をつぶっている限り、上に上にと見えない階段を登り続けれるという代物らしい。ただ、目を開けると、魔法が解けて落ちてしまう。
なるほど、訳ありの失敗作。
「でも、でも面白い物なんですよ」
行商人は、そう言いながら帰ってしまった。
目の前に魔法の階段。
その夜、寝ぼけたタゴサクは、オシッコしようとフラフラと便所に向かった。
タゴサクの家の便所は、家の外。
ねむい〜 ──あっちへフラフラ
オシッコ〜 ──こっちへフラフラ
ねむい〜 ──あっちへフラフラ
もれる〜 ──こっちへフラフラ
ついつい、魔法の階段に上ってしまったタゴサク。
フラフラと上っていく。
「えっ! なんで屋根の上?」
目をパッチリと開けてみると、屋根の上。
さぁ、オシッコどうしよう。
次の日、タゴサクは面白そうな事を思いついた。
町に行き、距離と方向を測って魔法の階段をセット。目をつぶって、スタート。
タゴサク、目をつぶり、順調に上っていきます。
民家の屋根を超えても上っていきます。
一段一段、数を数えて上っていきます。
三百段を数えた時、大きな声で、
「お殿様〜!」
びっくりして、天守から顔を出したお殿様。
何と、空中をタゴサクが歩いてきます。
「タゴサク〜!」
「お殿様〜。そちらに向かいます」
「お〜、タゴサクよ、待っておるぞ」
さぁ、空中を天守目指して上っていくタゴサク。目をつぶっているから、細かい調整は、声が頼り。
ついに、天守の高さまでたどり着いたタゴサクでしたが、ちょっとズレて、天守の横を通り過ぎてしまいます。
「タゴサクよ〜。こっちだ〜!」
「お殿様〜」
「タゴサク〜〜!」
天守を過ぎてしまったタゴサク。
見上げるお殿様。
雲に隠れるタゴサク。
見上げ続けるお殿様。
下りる方法が分からず、上り続けるタゴサク。
ただ見上げるしかできないお殿様。
タゴサク。雲の向こうに消えていきました。
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