タゴサクと魔法の小瓶

 昔むかしのタゴサクのお話。


 行商人が、小瓶を持って来た。

 魔法の小瓶であるらしい。

 水を入れて暫くすると、ジュースになるという。


 タゴサク、面白がって、井戸の水を入れてみる。

 しばらくして、飲んでみると、

「オレンジジュース!」


 川の水を入れてみると、

「ソーダ!」


 色んな水で試してみたくて、色んな所に行ってみる。


 峠の茶屋の湧き水。

「ファ○タ オレンジ!」


 お城の井戸の水。

「ミックスジュース!」


 色んな所の水で、色んなジュース。


 ついに、禁断の水に手をだす。

 女神様の泉の水である。


 女神様にお願いして、小瓶にミスを入れさせてもらう。

 ── 変化しない。

 時間がかかるのかな、変化するまでおいてみることにする。

 家に帰ったタゴサク。


 一晩。


 翌朝、小瓶を見ると、不思議な物が、

 ── プルプルプル

 七色にきらめく、ゼリーのような、スライムのような液体(?)が、入っていた。


 試しに一口。

 ── プルプルプル

 口に入った瞬間、弾けるような衝撃が!

 喉を通った瞬間、様々な果物の芳香が!

 身体に染みた瞬間、プルプルプルッと、心が揺れる。

 今まで味わった事のない味わい。


 美味しい!!!!!


 肌まで、筋肉まで、内臓、骨までプルプルになったような感じ。


 女神様にも一口飲んでもらおう。

 力の抜けた、プルプルとした足取りで、泉に向かうタゴサク。


「何ですか? この飲み物は」

 女神様も、ビックリ。

 お肌プルプル。体もプルプル。

 頭の中まで、プルプルプル。


 一口だけで、この感覚。

 プルプルジュースと名付けた、このジュース、これ以上飲んでは駄目と、女神様は、注意します。

 しかし、タゴサクは、いろんな皆にも飲ましたい。

 あと一回だけと、女神様にお願いして、もう一瓶作ってみた。


 お城に持って行って、一口。

 峠の茶屋に持って行って、一口。

 町の皆に、一口。


 皆、このプルプルジュースの虜となった。


 もう一回作ろうと、泉に行くが、女神様は駄目と言う。それでは、女神様の目を盗んで、泉の水を汲もうとするが、手が滑ってしまって、小瓶は泉の水の底。

 黙って、諦め、タゴサクは家に帰ってしもうた。


 さて次の日、怒りの女神様に呼び出されたタゴサク。

 なんと泉の水、全てがプルプルジュースになっておった。

 泉の真ん中で、プルプルしたゼリーのようなジュースまみれの女神様。


 なんとかしろと怒られても、なんともできません。

 そこでタゴサク、いろんな皆を呼んできた。


 池の周りに幾重にも並んだ皆。

 お殿様も、ゴンザレスも、峠の茶屋の京さんも、お侍の団十も皆がそろっています。


「さぁ、いっせ~の!」

 掛け声一番、皆で飲み始めます。

 トロ~ンとした顔で、飲み続ける皆。

「そろそろ二番手いきますよ!」

 選手交代。後ろに並んでいた人と代わります。

「そろそろ三番手!」

「そろそろ四番手!」

「一番手に戻ります!」

「二番手!」


 ドンドン飲み干されていく泉の水。


 ついには、全て飲み干した。

 あとに残るは、干からびた泉とジュースまみれの女神様。

 そして、トロ~ンとした顔をして、プルプルしてクラゲのようになった皆。

 誰一人、立ち上がろうとせず、ただプルプルプルプルプルプル……。



「これは、皆を駄目にする」

 女神様は、魔法の小瓶を隠してしまった。

 これで、誰もプルプルジュースを飲めなくなった。


 でも、また飲みたいなと思う、タゴサクであった。

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