日英同盟万歳!今から入れる保険あるんですか!?安心してください!ありますよ!

リヒト

イギリス。保険の押し売りにあう。

「ジョージ首相!」

「……どうした?もう、無理か?」

 イギリスの首都ロンドンが共産主義者たちに包囲され、すでにイギリス王室はカナダへ亡命している。

 そんな中、イギリスの首相のデビッド・ロイド・ジョージは一縷の望みにすがりロンドンに滞在していた。

 だが、日に日に悪くなっていく情勢にジョージ首相は諦めていた。

「いえ、大日本帝国が!大日本帝国が!」

「あの極東の国が動いたのか!それで、なんと?」

「では、『なんとですねぇー。今からでも入れる保険があるんですよぉー』とのことです」

 沈黙。長く重だるい沈黙に包まれる。

「は?」

 長い沈黙の末にジョージ首相はポツリと告げた。


 ■■■■■

 

 1917年。第一次世界大戦が開戦してから三年。ドイツ帝国による無制限潜水艦作戦は行われず、アメリカは第一次世界大戦に参戦しなかった。

 1918年。ロシアはブレストリトフスク条約でドイツ帝国に降伏。

 1919年にドイツ軍による大春季攻勢は成功を収めイギリスとフランスは継戦能力を失った。

 フランスでは共産革命が発生し、イギリスもじきに共産主義者の魔の手に落ちるだろう。

 英仏からドイツ帝国に覇権が移り、世界には混沌が訪れようとしている。

 そんな中、安定を確保した極東の大国が存在した。

 それが、それこそが大日本帝国である!

 ドイツ帝国と白紙講和を結び、戦力を余らせた大日本帝国の手はどこに伸びるのか……。

 

 ■■■■■

 


 ドイツと戦局が離れていたゆえにドイツと白紙講和を結んだ極東の大国、大日本帝国が動いた。

 戦争が終結し、兵力が空いた大日本帝国が我が国への支援を表明。

 再び日英同盟が結ばれた。

 大日本帝国陸軍がカナダを通りイギリス本土へと上陸。

 所詮正規軍でない共産主義者など大日本帝国陸軍の敵ではなく次々と敗走を重ね、とうとう包囲下にあったロンドンを開放させた。

 大日本帝国の助力もあり、イギリスは共産主義者による反乱の鎮圧に成功した。

「なんなのだ。あの『なんとですねぇー。今からでも入れる保険があるんですよぉー』とは!いたずらだと思ったぞ。なぁ、本当にあれが日本からの正当な文書なのなのか?」

「えぇ。現に大日本帝国は助けてくれたわけですし」

「いや、そうなのだが。ほら、それは偽物で、他に別の正式な文書があるとか」

「いえ、それはないでしょう。あの文書には大日本帝国の天皇である萌絵天皇陛下直々のサインもあったので」

「そうか」

 ジョージ首相は本当に日本と同盟を組んでよかったのか、不安になってきたのか。

 祖国は、大日本帝国は大丈夫なのだろうか……。

「それはそれとして大日本帝国からの要求どういたしますか?」

「……飲むしかなかろう。宝石を失うのは不味いが、今、我が国には大日本帝国陸軍が駐屯しているのだ。逆らってみろ。軍もボロボロの我が国など一瞬で滅びるだろう」

「そうですね」

 頼むぞ。萌絵天皇!この国を明るい未来に導いてくれ!

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