第58話

2学期期末テストが終わり、クラスメイトの緊張が切れかけた頃、僕は緊張が最骨頂に至っていた。今日のホームルームで全ての科目のテストが返却される。僕の高校では返却が最初でその後各授業で解説が行われるのだ。平均点以下だと補習が待っている。補習になってしまった場合、僕はVtuber活動を一時

辞めなければならなくなるだろう。


 お願い! そんな風に願いながら僕は自分の名前が呼ばれるのを待った。

『天津海里!』先生の言葉で僕はテストの結果を取りに行く。その結果は……

数学Ⅰ―60点

物理基礎―60点

現代文―89点 

化学基礎―61点

英語―60点

という現代文以外ぎりぎり赤点でない成績だった。今回の平均点数は59点らしい。後2点落としてれば現代文と化学基礎以外赤点だった。

 

 朝の長いホームルームが終わり、周りの人達がテストの点数について話し始める。それは僕も例外ではなく僕は賢人にテストの結果を聞いた。

 「ねぇ、賢人。テスト結果どうだった?」そう訪ねた僕に賢人が無言で見せたのが

オール60のぎりぎり赤点じゃない点数たちだった。僕と賢人がそんな話をしていると

如恵留ちゃんが僕らの方へ向かってきた。

 「ふたりともどうだった? 海里くんは

赤点回避できた?」如恵留ちゃんのその言葉に僕は満面の笑みで答えた。

 「なんとか出来たよ! 本当にありがとう」如恵留ちゃんが居なかったらきっと僕は赤点を免れなかっただろう。しかも凄い事に僕の勉強を手伝っていても如恵留ちゃんは合計点数が450とほぼ9割を取ることが出来ていた。


 テスト返却が終わると周りの人の雰囲気は今から3週間後にある『体育祭』へとシフトする。体育祭は1日を通して行なわれる学校行事で先輩後輩関係なく優勝に向かって戦うらしい。体育祭で重要なのはどの競技に出るかだ。自分がしやすく、クラスに貢献できる競技……1時間目の総合での競技決めで僕は第一に手を挙げた。『バレーボール』の競技に……


 バレーボールはチーム力がとても大事な

競技だ。リレーや借り物競争のように個人の力で全てが決まることはない。僕がバレーボールに立候補した後はとてもスムーズに各 競技の選抜者は決まった。競技が決まった後は簡単に練習を行って今日の授業は終わりとなった……


☆☆☆

放課後、僕は家に帰り配信の準備を行う。

今日の配信は体育祭前の準備雑談だ。僕は

事前に夕食を食べて自分の配信部屋へ向かう。そして定刻になった頃配信を始める……


 「友達のみんな! 天原夜空だよ! 今日は友達のみんなに教えてほしいことがあるんだ!」僕のその言葉でコメント欄では

 『何でも教えるぜ!』

 『何かあった?』などのコメントが溢れる。僕はそんな友達に向けて今回の配信を

行った経緯を説明した。

「僕がねバレーボールをすることになったんだ」僕のその言葉で賢い友達たちは体育祭のことだとコメント欄で考察している。その

様子を片目に見ながら僕は言葉を続けた。

 「僕さ、お荷物になりたくないから練習をしたいんだよね。友達の中にバレーボールのコツを知ってる人が居たら教えてほしいな……なんちゃって……」僕がその言葉を

言い終わる前にコメント欄は信じられない

スピードで流れていった。


 成る程…… 自身の背が高ければスパイクの練習を、低ければ高い人にボールをトス

する練習をすれば良いのか…… 友達たちの意見を聞きながら僕は配信を終了するために言葉を綴る。今日の配信は30分の短期配信だ。僕はまだまだ加速が止まらないコメント欄を背に言った。

 

 「友達のみんな! アドバイスありがと!僕は勝ってみせるよ! バレーボールをするのは一週間後だからみんな応援しててね!

それじゃぁバイバイ!」



   ……配信は終了しました……


☆☆☆


配信が終わってから、僕は毎日2時間のバレーボール練習を習慣づけた。多分だけど形にはなったと思う。そして明日には体育祭が

やってくる。これまでの期間、全て練習に費やして来た。きっと役に立てる筈……


そうして翌日、『パッパッカパーン!』というラッパの音と共に僕達1年生にとって初めての体育祭が始まった……


……………………………………………………

毎日投稿3日目です。ちょっと少なめですが今日はテストが終わり体育祭の話に変わっていきました。次回4月1日も18時に更新予定です。お楽しみに!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る