第51話(ホラゲ実況前編)

Side海里

「そろそろ始めるよソウマくん」Vオフィス一期生の飲み会配信が滞りなく終わり、次の配信まで十分ほどしか無い中で僕はそう電話越しに居る後輩のソウマくんに言った。


 今回の配信はホラゲ実況だ。

僕がVtuberになってから2回目のホラゲ。何をソウマくんと一緒にやるのかはまだ僕も知らない。そして準備ができた僕達は配信を

始めた……


@Vオフィス24時間リレー配信!

#ソウマくんとホラゲ!!

……………………………………………………

コメント欄

米丸後輩:大丈夫か? 夜空たん。だってあの魔鬼配信で、すげえ怖がってたぞ……


米丸1号:まぁ、それは同感だが夜空たんのビビリ声も俺らにはファンサだからな……


カメヤマ:ホラゲは苦手だけど頑張って見るわ……

……………………………………………………


「友達のみんにゃ! マニオカート配信振り! そろそろ24時間リレー配信も半分になってきたにゃ! 今回はねぇ、マネさんが選んでくれたこのホラゲ! 怪奇廃深をやっていくにゃよ!」僕は少し声を震わせながらもそう言い切った。


今回のホラゲーはある廃墟にYouTuberの三人が検証という体で乗り込むとこから始まるらしい。僕とソウマくんでキャラを別々に

担当してこのゲームを時間以内にクリア

する。クリア出来ないと罰ゲームもあるためクリアしたいけれど……


「星の皆、この配信に来てくれてありがとう。それじゃ夜空先輩とこのゲームを実況していくよ……」ソウマくんのその一言でゲームは起動された。何もない無音の状態からタイトルが浮かび上がる。僕はゲームが始まっていないのに驚いてしまっていた。

 そして僕がスタートのボタンを押すとゲームは始まった。


 貴方の名前 ーーーーー

その画面に向かって僕は夜空と入力した。

そしてストーリーが物語形式で始まる……

夜空『ねぇ、やっぱ危なくない? 廃墟に行くなんて……』

美咲『ほら、夜空! 一緒に行くよ!』

 そう言って私達が向かったのは誰もいない山奥の廃墟だった……

 

 「なんか、今のままでも怖いんだけどにゃ……」僕はそう言葉を洩らしながら探索を進めた。

『ガシャン!』自分の耳元に聞こえるほどの崩壊音に僕はふと周りを見た。ゲーム画面には最初から居たはずの美咲と氷雨がいつの間にか消えていた。あるはずのない怪奇現象。


 「ねえ! 美咲どこ? 氷雨も!」僕は

あまりの恐怖さに罰ゲームのことを忘れて

そう言葉を発した。友達のコメントでは、まだ序盤中の序盤らしい。


 僕はこれからのことに不安を持ちながらこのゲームを進めていった。そしてこのゲームを始めてから二十分。遂にその時がやってきた。


 『オ、オマエラ…… ミタナ?』そう言って僕達が見てる画面に現れた化け物は凄まじい勢いで僕達を追いかけてくる。僕は叫びながら逃げまくる。操作方法が初心者でも簡単なスティック式だからか驚くほど簡単に逃げ切れた。


 けど、まだ僕の耳にはあのおぞましいうめき声が残っていた。今、夜空が居るのは病棟の地下一階。まだ鍵さえも見つけられていないけど早く脱出しなければ……


 「ねぇ、ソウマくん。どうすれば良いと思うにゃ?」僕は恐怖で震えてるのを誤魔化すようにソウマくんに尋ねた。


 「夜空先輩……まずは上に行く階段を見つけましょう。くれぐれも慎重に、また怪物が現れる可能性もありますから……」僕はソウマくんのその言葉につられてこの廃墟を攻略していった。僕の目の前の画面には真っ暗な景色が広がっていた。いつ、あの怪物が現れるか解らない。僕はゆっくりと鍵があるらしい空間へと脚を踏み入れた。


 『一階への鍵を手に入れました』そんな機械音と共に化け物は現れた。本当に思うのだが何故アイテムを取ると化物が現れるのだろう。僕は叫ばないようにして逃げ回った。僕の経験上、逃げ切れる道はあるはずだ。

 怪物と鬼ごっこを始めてから2分、僕は

怪物に競り勝ち一階への切符を掴み取った。


 「良かったよぉ! ソウマくん。アドバイスありがとうにゃ! 友達のみんなもアドバイスありがとうにゃ!」 

ホラゲに集中しすぎてコメントに意識を傾けてなかった僕は滝のように流れるコメント欄をみてそう言った。

 

 今の時間は配信開始から一時間ほど経っている。ホラゲ配信の枠は2時間ある。あと一時間……僕だけじゃなくソウマくんも居るが

僕たちにこのゲームをクリアすることが出来るだろうか? さぁ、あと少し頑張ろう!


 僕はそう意気込んで一階の探索を始めた。けれど僕は知らない。このホラゲの真の怖さを……一階からの本格的なストーリーに絶叫し一人で眠れない程になるということを…… 

…………………………………………………… 

 コメント欄

米丸後輩:怪奇廃深って一階からがやばくなかったけ?


米丸1号:あぁ、そうだった筈だ。てか、その事、ソウマくんは知ってんのか?


星の子:解らない……あとさ、夜空ちゃんの語尾が変わっていたけど何で?


米丸後輩:そうか、知らねぇのか。最初の

マニオカート配信の罰ゲームでこのリレー配信中語尾が『にゃ』らしいぜ


米丸1号:そんなことを話してないで夜空たんを見守るぞ……


米丸後輩:御意……

……………………………………………………

ということで遅れましたがホラゲ配信前編です。今回の話のもととなっているホラゲは自分でリサーチしたゲームになってます。自分自身、ホラゲは本当に苦手なので経験できてはいないですが……


さて、次回の話はこの後編と朝枠を一話で書き切ろうと思ってます。ですが一応予定なのでもしかしたら変わるかもしれないです。



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