第9話失くしたもの

私は本に100万は高校3年で使っていた。それがある日全部無くなっていた。

何度見てもない。

どこにも

古本屋で見つけた初版の本物、辞書も、漫画も、ファンタジー文庫も。

コレクションも。

私の中学生からの財産。

残ったのは、いつもカバンの中に入れている星の王子さま。

ガラス戸の扉を持っていたカバンで全て叩き割る。私が世界で1番大切にしていた物

同人誌も。

許せない

許せない

私が何をした?

手を見るとガラスが刺さっていた。

本を返せ

もう廃盤で手に入らないものも沢山ある

親が帰ってきて、いきなり蹴られる

「弁償しろよ、ばばあ」

初めて親を思いっきり蹴った。

泣き叫ぶ妹?

「後なんだっけ?私に何かあったら妹をよろしく?知らねーよ、本返せよ」

素手でガラス戸を叩き割る。

母が初めて怯えたような顔をして

「寄贈したから、ケートラ1台分。邪魔だから」

人の価値観はそれぞれだが、帰って来ない、

怒りが、台風のように渦巻く

許さない

永遠に

命より大切なもの

沢山の友達といるのも好きだが

静かに本を読むのも宝物の時間

血だらけの手を見て

ニッコリ笑う

「医療費は自分で払うんで、ご心配泣く。今後洗濯もしなくていいです。コインランドリー出するので。お弁当も、食事も要らないです、

私は20歳までに家を出ます。申し訳ありませんが、家を出る後2年我慢してください。」

血だらけのままタンスを開けて、ワンピースを取り総合病院に行く。

医者はどうしたのと優しく聞いてくれたが、私は営業スマイルで穏やかに

「失恋しちゃって、昨日まで一緒だったのに突然いなくなって、やけになりました。」 麻酔の注射も痛かったけど、長時間かかった。縫ったし。血だらけの服は、病院のゴミ箱に捨て、ワンピースに着替える。

そして、バイト先に電話して2週間休みを取って、友達の家に行く。

「親が狂ってる。寝る」

友達は、雑誌を読んでる。

私はねる。

麻酔が効いて痛いながらも、痺れた感じがして眠い。

私は子供を愛せるのかな?

分からない。

だけど、大切にしたい。絶対に殴らない。

そのまま、寝る。

友達って言っても、女の子。

バイだけどね。

私は友達だから、対象外。

ぐっすり眠れる。

沢山の友達と信頼できる友達

信頼できる友達が1番

それに沢山の友達と浅く付き合っても、得るものは少ない。

私は不器用だから。

泣きたくても泣かない。

なんか、人生で3回泣けたらいいかな?

自然と眠りに落ちる。

昼頃に目が覚めて、電卓で出席日数を計算する。まだ、1ヶ月はやすめるな。

1週間休もう。

友達は、カップ麺にはうるさいので拘りのお湯の量で作られたカップ麺を食べさせて貰う。おかしくて、おかしくて

大丈夫って聞かない代わりに、真剣な表情で、緑茶にストローでラーメンをふうふうしながらたべさせてくれる。

こんな真剣な友達は初めてで、優しいなって

無言だし。絶対に傷口見ないし。

消毒通うのも邪魔くさくてマキロンで消毒した。包帯したり、軍手つけたり

私は大雑把。もう1人の友達も来る。

ケラケラ笑って

「ババにやり返した?なにしたの?」

「本を寄贈したって言ってるけど、売ったと思う」

あいつは金に汚い

ヤケになるのも負けた気がして、ガラスバリバリに割ったと伝えた。

友達もケラケラ笑って

「あと2ヶ月で卒業だね」

「だね」

早かったなー。

学校にも話す人は沢山いるけど、親友じゃない

この2人が中学生からの親友。

「僕は6月から年末まで、東京で出稼ぎ行ってくる」

本当に不思議だけど、暖かい

態度が

家にはまだ帰るつもりはない。

通帳のお金も100万下ろされていた。

らしいなって感じ。

専門学校行きたかっけど。

生きてるだけ、マシ。

別の通帳にはまだ入っているし。

この通帳は友達に預けていたから、無事。

フリーター頑張って、専門学校行こう。

まだ、未来は明るい。

なんやかんやで、3人と時々帰って来るおじちゃんと、毎日帰ってくるおばちゃん。

1週間して家に帰った。

誰とも話さない。

部屋も書斎でパンを食べ、同人誌の原稿を書く。依頼もあるから、月8万位にはなる。

黙々と書いて、パソコンで。

それから、お風呂に入ってマッサージして寝る。子供は無力

だけど、20歳までにこの牢屋から逃げる。

親からはもらったのは、忍耐。憎しみ。

義父からは、憎悪。無駄なプライド。

醜いや

お父さんにも会ってないや。

手紙も送ったけど、これがanswer

身内に恵まれないだけで、周りには恵まれている。多くは望まない

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