万華鏡
ハナミ
第1話記憶
私には弟がいたみたいなんだけど、どうしても思い出せない。
思い出せるのは、数人の大人達の怒鳴りあい。今思えば、泣いたりするんだろうけど日常だから、涙もでない。
怖いのとも違う。
煩い。ハエみたいだなって。
眠たくなって、布団を頭の上にまでかけて眠る。興奮した大人に、自分の姿が見えなくて
踏まれるのだけは、寝不足になるのが嫌でアザも迷惑だなと。
夜は宗教の集まりで、揉める
イメージ、幸せじゃないんだなと。
まだ、弟の記憶はない。
余程冷たい姉なんだろう。
昼間は思いっきり友達と遊ぶ。
家は疲れる。
そして、隣のおばちゃんの家の三毛ちゃんを眺める。少し触らせてもらって。肉球を触る柔らかくて気持ちいい。
これだけで、3日は生きられる
猫飼いたいなー。
三毛ちゃんと別れて、幼なじみの家に行く。
そこで、出るお菓子が楽しみ。
そして、普通の家庭をみるのが、胸がホカホカして私も将来あんなお母さんになりたいなっ手。憧れる。ただ、心の底から笑う方法は知らないから、笑ったふりをする。
楽しいのにね。変なの
私は特に期待はしないな。親に対しては。
痛い事しかしないから。
おばちゃんが夕飯の支度を始めると、私は友達にバイバイをする。
どうか、お父さんがいますように。
お母さんが、お酒飲んでませんように。
「ただいま」
いきなり髪を引っ張られる
真っ赤なネイル
「何時だと思ってる」
「煩い、鬼ばば」
私は鬼ばばとしか呼べない。真っ赤な口に派手な服。いつも酒臭い。
大嫌い
思いっきり睨みつける
すかさずビンタを喰らう
「お前なんか消えろ」
素直に言葉に出る。この人にテレビで見るような、親らしい事はして貰った事がない。
思いっきり、母の足を踏む
好きも嫌いもない
ただ、煩わしい
ハサミを持ち出した母が突然私の髪を切る
ジャリジャリ音がする。
もう、慣れてる。
今日は傘で殴らないんだね。
「お前みたいな男女は長い髪はいらない」
満足したかのように、タバコに火をつける
私は、無言で家の靴をダッシュボードに捨てる。早く仕事行ってくれないかな?
もうすぐしたら、通いのおばあちゃんが来てご飯を作ってくれる。
私は自分を不幸だとは、思わない。
だって、家以外では楽しいから。
負けたくないから。
「お前その頭どうした?」
お父さんが、泣きそうな顔で私を見る。私は必要らしい。
よく分からないなー。
でも、綺麗に髪の毛を切ってくれた父には感謝しかない。
あー今の年齢って保育園くらい。
親とお風呂に入った記憶はなく、洗面器を椅子にして、自分で自分を洗う。
ずっと思っていた事
可哀想だと思ったら、負け。
いかに楽しむか。
今日のご飯は鍋だった。
母は、夜の仕事に行き、工場から帰って来た父は屋台に行く。
通いのおばあちゃんが色んな話をしてくれる。お腹空いたと言えば、ご飯にバターを乗せてタラコを乗せたのを作ってくれた。
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