第190話 花言葉
休憩時間になると、俺は桃代が話した内容をノートに書き留めている。
桃代は、
ユリと、ユリの母親は、冷たい飲み物をみんなに配り、他の奴らはくつろいでいるが
俺はノートの整理が終わると、顔を上げてまわりを見渡すが、くつろいでいた
ん、なんだ? だるまさんが転んだのか?
微動だにしないユリに近付いて、頬を
なるほど、どうやら時間が止まったようだ。
今なら、ユリに気付かれることなく、腰の辺りにある結び目を解く事が出来る。
まあ、当たり前なんだが、そんな事はしない。
すれば、必ず桃代にバレて、死ぬほど折檻を受けるからだ。
などと、相も変わらずバカな方向に思考が働くが、ユリの視線の先に硬直の原因を見つけ、原因が声を掛けてきた。
「紋ちゃん、あれだけ気を付けろって言うたのに、なんであげな子と仲良うしとるんじゃ、このバカたれが!」
「あれ? おまえ、キーコと俺が一緒に居たのに気付いたの? って、ちょっと待て。桜子、悲鳴を聞きたくないから、ユリの口を塞いでいろ」
「あっ、そうね、わたしの時と同じになるよね。も~う、ユリさんが架空の生物は居ない
取りあえず、絹をつんざくような悲鳴を回避させると、桃代は龍神の紹介を淡々と終わらせる。
しかし、紹介が終わっても、
その後、
「も、も、ももよさん、こ、これは? この化け物はなんですかッ!」
「化け物って、いま【龍神様よ】って紹介したでしょう。化け物なんて言うとバチが当たるわよ。さてと、架空の生物の証明は済んだから、気になるところを潰していきましょう」
「あっ、あの~龍神様だけでは、何もわからないのですが・・・お願いします、もう少し詳しく教えてくださいッ。わたし、怖くて死にそうですッ!」
「悪いなユリ、先に話をさせてくれ。なあ龍神、キーコの様子はどうだった? 何か妙な行動をしてなかったか?」
「んっ、あの子はキーコちゅう名前なんか。なんで監視をするのかわからんが、今のところ大丈夫じゃろう。きれいなべべを
「べべ? ねぇ、紋ちゃん、べべは紋ちゃんが買ってあげたもの? 何着購入したの?」
「服って言え。腹立つから龍神の真似をするな。服は4着だけど、それがどうした? ちゃんと桃代さんを参考にして、購入しましたよ」
「そう、わたしを参考にしたの。じゃあ、それについては何も言わない。古い服に着替えたのなら、残りの3着をまだ着てない事になる。あと三日の猶予が出来た。それまでに解決の目処を立てればいい」
「三日の猶予って、そんな悠長な事を言ってる場合か? キーコは今にも復讐を実行しそうな勢いだったのに」
「だからね、復讐相手は居ないの。それから、ユリと桜子ならわかるでしょう。お気に入りの子に服をプレゼントされたら、大切にして必ず一度は着る。そう考えれば残り3着分が三日の猶予になるの」
「すみません桃代姉さん。わたしは気になる異性にプレゼントを貰った事がないので、わかりません」
「うっ、わたしも桜子さんと同じです。参考にならなくてすみません」
「あなた達って、本当に役に立たないわね。少しはキーコの気持ちを理解してあげなさい。紋ちゃんは、わたしの考えをどう思う?」
「俺にはキーコの気持ちはわからない。だけど、桃代の言う事なら信用する。あとはさっき言ってた、気になるところを聞かせてくれ」
「少し待ってくれる。紋ちゃんが余分に服を購入して、龍神様がキーコの様子を伝えてくれたから、時間の余裕が出来た。だから、もう少し調べてさせて。それと一つ確認、紋ちゃんがこの花を見た時は、花の色は黒くなかったのね?」
「そうだけど、これはキーコが供えた花なのか? あの小さな
「うん、
「そんな事を言われても、俺にわかる訳ないだろう。桃代さんはこの花の、何がそんなに気になるの?」
「あのね、黒ユリの花言葉は【呪い】偶然かも知れないけど引っ掛るの。呪いの根源が他に居るような気がする」
「・・・えっ!?」
そういえば、桃香の塚に花が咲いた時、桃代に花言葉をレクチャーしてくれたっけ。
興味が無くて聞き流したら、酷く怒られた記憶がある。
花言葉に関しては、偶然かも知れないが、偶然だとしても、嫌な偶然だ。
あとは、桃代の言うように呪いの根源が他に居るのなら、キーコが巻き込まれる危険もある。
どうしたらいい?・・・って、考える必要はない。
俺がキーコの元に行けばいい。
そのうえでキーコを保護して守ってやらないと、何に巻き込まれるか、わかったものじゃない。
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