第10話 まだ続き
奴らは、俺が答えるのを待っている。
逆鱗を俺から奪い、治水のコントロールが出来れば
そんな事を考えているのかも知れないし、ただ単に心配しているだけかも知れない。
どちらにしても今の時点では即答は出来ない。
奴らの真意が分からないからだ。
「いいですか
「あっ、いや、申し訳ない、失礼しました。先代の桃代さんから、何か聞いているかと思いまして」
「桃代からですか? もちろん色々聞いてますよ。あいつ、変わった奴でしょう」
「ちょ、ちょっと待って下さい。貴方様は私の事務所で【桃代さんは誰ですか】って
「当たり前でしょう。見ず知らずの弁護士に、何でもかんでも正直に話す訳ないでしょう。えっ! 弁護士の自分には、何でも話して貰えると思ってました? あはは、それはね
「失敬なッ、私を侮辱すると、名誉棄損で訴えますよッ」
「どうぞご勝手に。ただ、ここが誰の家で、許可無く入っている事を忘れないで下さい」
「ぐッ・・・」
「やめなさい
「そうですか
俺は奴らをおちょくる。
人は怒ると本性を見せて余計な事を漏らす。そんな気がするからだ。
今の俺は何に巻き込まれて、誰が味方で誰が敵なのか? 何が起こっているのか? さっぱりわからない。
だって、こんなにワクワクするのは、生れて初めての事なのだから。
「えっと、では俺の方からもいいですか? まずは
「
「次に
「は、はい、私はそのように、部下から報告を受けております」
「わかりました。では坊主、あんたは何さん? 名前くらい名乗りなさい」
「は~ははっ、拙僧は
「はいはい、じゃあ
「あっ、いや、桃代様の遺骨は供養が済んで、寺にある真貝本家の
「勝手な事をしやがってッ、戒名はどうしたッ、位牌はどうしたッ、おまえ等適当な事ばかり言ってると、ここから叩き出すぞ!」
「すみません。落ち着いて下さい御当主様。こやつ等には、わたくしめがキツく注意を致しますので」
「そう、じゃあ任すね
「はい、
「ふ~ん、面倒くさ。まあいいや、それで危機の方は何なの?」
「はい、御当主様は能面を見てると
「能面? あのミイラが
「御当主様は、その能面に手を
「んっ、俺は直接
「いえ、
馬鹿めッ、俺が知らないと思って変な駆け引きをしやがる。
だから若い奴らは、大人を信用しないんだ。
あの能面は、桃代がベッドに投げ捨てた時に確かに存在していた。
【ぽす】って、音がしたからな。
つまり、警察には押収されて無いのに、あたかも警察にあると
俺も大人を信用しない理由。こちらが知らないフリをすれば、平気で嘘をつくからだ。
まあいい、これは奴らに対して、ひとつのアドバンテージになる。
「でもさぁ
「はい、その時は手袋をして、
「俺の
「はい、次の日に死にました」
「えッ? ウソ! あの解体屋のオヤジが、死んだ・・・」
俺はショックを受けた。
別に親しい訳では無い、名前も知らない。
ただ、何度か同じ現場で働いて、一度缶コーヒーを奢ってもらった事がある。
それだけの間柄なのに、妙に悲しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます