第33話 プラスアルファー

「上司には、Pがあるのです。僕ら下っ端には何もお話しはありませんが、プラン、計画があってDの行動があって、天地創造されてみなさんが今“ここ”いらっしゃいます」


「うん…」

「今の報告書でご満足されているということはそんな報告書でも、C、チェックになっているということじゃないか…、上司の計画はそれだけで計れるということじゃないか…、と同僚とは推測しています。それから導き出される上司のプランって、小杉さんわかります?」


 まだ何も言えないね。それに本当に推測するだけでもおそれおおい。僕はゆっくりと首を振ってみせた。


「同僚ともこの辺は一致したんですがね、誠におそれおおいですが、上司のプランって、ただみなさんが”生きているだけ”、ということではない、そうなると思うのです…」


 うん…? そうなるの? 話が急すぎるよ、ガブちゃん。


「みなさんが生きているのは、上司だってすぐにわかります」


 うん、自分が作ったものが

"そこにまだある"

ことは調べなくってもね。


「ですが、わざわざ我々ガブちゃん達を派遣して、こんな調査をして、報告を聞くってことは、生きているプラスアルファーをチェックされているのだと思うのです…」


 箸も止まったよ、ガブちゃん。僕もあえてはすすめない。


「アルファーね…」


 一連の幸福、まさに幸せな人生、生活。黙っていればそのまま一生ハッピー。揺り返しもない? ないの?


「今更だけどさ、ガブちゃん。この幸運の代償って、まさか死後に魂を悪魔に売る渡すってことじゃないよね…ね! そうだよね!」


 真剣に僕を見返すガブちゃん。目が怖い。怖いよ、それって悪魔の目じゃない?


「死後の世界については絶対に話せません!ビール頼んでもいいですか?」

「いいよ!ピッチャーで頼む?」

「冷えたのがいいのでジョッキ!」

「お姉さん、至急、よく冷えたジョッキ!」


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