僕のストーカーはクラスの美少女だった。

僕のストーカーはクラスの美少女だった。

作者 星海ほたる

https://kakuyomu.jp/works/16816452220742903615



 天野栄汰はストーカーしていたクラス一の美少女桐花結夏と二年間同居し、許嫁となった彼女と結婚する物語。



 ヤンデレな美少女ストーカーかしらん。

 一体どんな話なのかは「読んでみてのお楽しみ」である。



 文章の書き方については目を……つむりたい。

 書き上がったら一読して、気になるところやおかしなところがあったら手直しすると、いまよりも作品が良くなるかもしれない。

 主人公、天野栄汰の一人称「僕」で書かれ、青い鳥文庫のような児童書を彷彿させる文体。登場人物の描写がくわしく書かれていない。このへんはラノベのテンプレということで割愛されているのかしらん。

 たまにヒロインの桐花結夏視点で書かれている箇所がある。一話まるごと桐花結夏視点で書かれるわけではないので、いささか読みにくさが目につく。そういうときは、そっと目をつむることにする。

 

 主人公をストーカーしていたのは、「同じクラスの超絶美少女で男子からモテモテ」の桐花結夏。どのような美少女なのか具体的な描写がない。学校では「クールなお嬢様って感じのオーラ」とある。またクラスで仲のいい森山隆平によれば「桐花さん可愛いよな〜。肌も白くてモデルみてぇ」だという。誰かの視点で容姿か語られるところはいいのだけれども、やはりヒロインなので容姿を描いて欲しい。

 とはいえ、彼女はストーカーとして主人公の前に現れたのだから、いい印象ではみられない。だから、いくら美少女な彼女であっても、素直にきれいに思えない気持ちが心のどこかにあるため、描写がないのかもしれない。


 加工食品を扱っている大企業の社長でお金持ちの祖父をもつ主人公は高校生になって一人暮らしを始めた。「入学祝いに新築の家をくれたすごい人。そしてとても変な人」と主人公におもわれている。きっと電気ガス水道料金なども払ってくれているのだろう。

 物語の場所が都心なのか田舎なのかはわからない。同じ金額でも、都心より田舎のほうがかなり豪華な家になる。少なくとも、「いつも買い物は近所のスーパーでする」とあるので、少子高齢化や過疎化などの影響により流通機能や公共交通網が弱体化し、過疎地や都市部の大規模団地など買い物難民の暮らすような地域ではないことだけはわかる。


 そもそもなぜ桐花結夏は天野栄汰をストーカーしていたのか。

 彼女と同棲生活をして半年近くたった頃、「結夏の母の秘書をしているという」男性が、結夏を探して訪ねてくる。秘書の話によれば「半年前、結夏には婚約している男性がいた」「その婚約は結夏の母親が用意したもので、相手は四十代の有名会社の社長」「ある日結夏はその婚約についての書類を見つけ母親を問い詰め」「自分の知らない間に婚約させられていたことを知り、結夏は翌日に家出した」という。


 でも彼女自身が語っているはなしによれば、「桐花グループの社長」をしている彼女の父は、「中学三年生という若さで大企業社長の許嫁にし」、相手は「父より年齢が上のまだ一度も会ったことのない人」で「十六歳になったら結婚させられること」になっていた。それを知った彼女は「猛反対した」が、「父は聞く耳をもたなかったので」彼女は家出を決行。

「母は学校に事情を伝え、父には内緒にしてもらえないかと教員に頼」み、学校側は「特別に聞き入れてくれた」という。「母は『自分の人生は自分で決めなさい』と」「二千万円入ったカードを」渡され、彼女は「ネットカフェにコンビニ弁当を買って帰る毎日」を過ごしながら学校に通っていた。


「ある日、私と同じ学校に有名食品会社の社長の息子がいるらしいと友達との会話で知り」「興味本位で少し探」すと、「自分と同じクラスに」いた。

 天野栄太は「優しそうでスタイルもまあまあ良くて自分好みの顔立ちだった」ので、「話すきっかけが欲しくて毎朝通学時間に着け」た結果、彼からストーカー呼ばわりされてしまった。

「最初は好きなどと言った気持ちで近づいた訳ではなく、お金持ちで自分のタイプな顔で生活費を浮かせるため」だった。「でも一緒に暮らしていくうちに彼の面白いところ真面目なところ頼りになるところそんな彼の良さを沢山知」るのだが、「彼にも彼女ができ」「たら私は彼にとって邪魔な存在となってしまう」ことを恐れ、「痛みが少ないうちにこの同居生活も終わらしてしまおうと」「私ね。……家に一度帰ろうと思う」といって彼の家を去ったのだ。

 押しかけるように彼の家に同居して半年後のことである。


 彼女の母親の秘書は「婚約は結夏の母親が用意したもの」だと言っているのに、桐花結夏は「父が自分を大企業社長の許嫁にし、十六歳になったら結婚させられること」に猛反対して家出したと語っている。

 どちらが正しいのだろう?


 彼女が家を出ていってから憂鬱な日々を過ごしていた天野栄太は、祖父に相談すると、桐花グループの社長をしている彼女の父は週二で酒を飲むという仲だと知り、好きでもない人と結婚させられる桐花結夏を助けてあげようとしてなのか、彼女の父親桐花徹夜に会いに行く。


 彼女の父親は、「見た目は五十代くらいで真面目そうな顔立ち」とある。

 娘の許嫁として選んだ大企業社長は、彼女の「父より年齢が上のまだ一度も会ったことのない人」だったはず。

 だけど母親の秘書が語った相手は「四十代の有名会社の社長」だと天野栄太に語っている。

 どちらが正しいのだろうか?


 桐花徹夜は、天野栄太に会うなり「きみ、結夏の許嫁になってくれ」「君のおじいさんは有名大企業の社長だし、君も真面目そうだからかな」「私は結夏が将来幸せに暮らすためを思って言っているんだ」と懇願している。

 毅然として断りながら、彼は「結夏さんのためを思うなら好きな人と結婚させてあげてください、結夏さんの人生ですから」と伝えるべきことを語る。

 その返答として、彼女の父親は「そーか、なら安心した」と答え、二日後には結夏が彼の家に戻ってくる。

 おそらく帰宅した結夏は父親に、「知らないどこぞの大会社の社長と結婚させるのはイヤ。好きな人とじゃないと結婚しない」とでも言ったのだろう。

 とにかく、大企業の社長と娘を結婚させたい父親としては、天野栄太は有名食品会社で酒飲み友達の孫だから娘に丁度いい、という発想にたどり着いたのだろう。

 後日、栄太の祖父と結夏の父から「二人共、結婚しなさい」と言われて話がまとまり、許嫁となって、同棲をはじめて二年後、プロポーズするのだった。


 それにしても、彼女の父親はどうして自分の娘を大企業の社長と許嫁にして結婚させたがったのだろう。業務提携して新規事業を立ち上げたかったのだろうか。

 どのような会社なのかうかがい知ることはできないが、社長一代で会社を築き上げ、生き残り企業としては成長の見込みは乏しいものの、業界内では一定の地位を確立し、一目置かれる存在なのかもしれない。そんな会社で一番考えられるのは、やはり後継者問題だ。おそらく、結夏は一人娘なのだろう。

 娘が大人になる頃には六十を迎えるのに、いまだ後継者が決まっていなかった。一刻も早く後継者を、と焦る気持ちが彼を許嫁選びに走らせたのだろう。

 そう考えると、母親も許嫁候補を探していたかもしれない。両親とも自分の許嫁選びをしていたことを知って、結夏は家出することとなったのかもしれない。

 後継者問題は、主人公側の食品会社にもおなじことが言える。

 そもそも、彼の両親がでてきていない。祖父が家を与えたり、結婚することを認めたりしている。ワンマン経営かもしれない。祖父が生きている間は大丈夫だが、確実に老いは迫っている。当然、主人公にあとを継がせたいと思っているだろう。

 二人の結婚は、双方の後継者問題の騒動を引き起こす火種になるかもしれない。

 とにもかくにも、お相手が決まってめでたしめでたしである。



 





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