第46話
3人でどうにか家まで戻って来た後、僕とミミは交互に風呂に入った。
冷えてしまった体をしっかりと温めてから、ようやくミミと僕は向き合うことになったのだ。
「愛菜ちゃんは、人に合わせないと不安になってしまう性格の子です」
ミミは僕の前で正座をしてそう言った。
テーブルの上にはニンジンチップスが置いてあるが、それに手を付けようとはしなかった。
「それが、僕となんの関係があるの?」
僕はできるだけ優しい口調でそう言った。
ちゃんと最後までミミの話を聞いてあげるつもりだ。
「はい。愛菜ちゃんはあなたの告白を断りました。だけど本当は、あなたの事が好きだったんです」
「それならどうして……僕を……」
最後まで言えなかった。
吐き気が込み上げて来て、言葉を切る。
「好き。そんな気持ちまで愛菜ちゃんは流されて、そして言えなくなってしまったんです」
「流された……?」
「そうです。周りの友達に反対されて交際を受ける事をやめたんです」
ミミの言葉に僕は頭が痛くなりそうだった。
周りに反対されたから僕と付き合うことができなかった?
意味がわからない。
「反対って……一体誰に?」
「それは……愛菜ちゃんの友達です」
ミミは言いづらそうにそう言って、俯いた。
まるで自分が悪い事をしてしまったかのように、落ち込んでいる。
「友達って……」
思わず笑ってしまう。
家庭の事情があって両親に反対されたというならまだ理解できる。
だけど愛菜は友達に反対されたからって僕の気持ちを蔑ろにしたのか?
気持が悪い。
本当に吐きそうだ。
女子はトイレに行くのだって1人じゃ行けないと知っていたけれど、付き合う相手まで友達によって決められてしまうものなんだろうか。
「勘違いしないでください。愛菜ちゃんは元々そう言う、1人じゃ決められない性格をしていたんです!」
ミミが慌てたようにそう言って来た。
「ミミの言っている事を信じるとしても、僕にはなにもできない。愛菜のそういう性格を変えてあげることもできない。だって僕は今、この町に暮らしているんだから」
「それでも!!」
ミミは大きな声で、すがるような目で僕を見て言った。
「それでも、いつかルキさんがあの町に戻った時に、愛菜ちゃんを支えてあげてほしいんです!
愛菜ちゃんは好きと言う気持ちを伝えなかったけれど、今でもルキさんの事が好きなんです!」
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