第4話 アルスタン王国3


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 ■ アルスタン王国3

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 ▼ デザート ▼

 直人とアリエルは和解なかなおりしていた。まあ、和解したと言うよりは誤解が解けたと言ったほうが正しかったりするのだが……

 後回も解けたところで直人はティセーヌからこの国のことなどを聞いていた。

 

 「ところでアリエルは朝食は済ませたの?」

 『いえ、今日はまだ頂いておりません。』

 

 「あれ、じゃ早く食べてきなよ!!」

 『いえ、今日はちょっとタイミングを逃してしまったので後でなにか適当につまみます。』

 

 「ふーん、アリエルたちの食事はどんなふうになってるの?」

 『私達は王族の方などをお世話した後に食べるようになっています、基本お昼は食べませんので後は夕食ですがこれも王族の方のお世話をした後になりますね。』

 

 「ふーん、まあ、メイドだから後になるのはわかるけど、お昼抜きはちょっと酷くない?」

 『いえ、それが習慣ですから、ちなみに私達だけではなく王族の方もお昼は基本的には召し上がりませんが、まあ、小腹がすいたら適当に要求はされますけど、私達はそんな事はないです。』

 

 「うわーっ、マジかぁ~……」

 確か日本でも江戸時代は確か一日二食だったような気がする、三食に慣れてる身にとっては面になぁ……

 おっ、やっぱりお取り寄せが出来るようにしてもらっていてよかったよ。

 

 「アリエルさぁ、よかったらこれ食べる?」

 お取り寄せてモックのハンバーガーを取り寄せた。

 

 これってステータスのショップ欄からショップを開いてリストから商品名を選ぶとアイテムボックス内に届くんだが……これって料金はどうなってるんだろう?

 ま、細かいことはいいか!!

 

 『直人様これは何でしょうか?とてもいい匂いがしますが?』

 「それね!!、俺の世界の食べ物でファーストフードって言ってもわからないかな、出店みたいなところで売ってる食品でパンの間に加工して肉や野菜を挟んである食べ物だよ。

 包んである紙を剥がしてそのままかぶりついて食べてごらん!」

 

 『はい、では、頂きます。』

 モグモグッ……んんっ……

 

 『……美味しい...とっても美味しいです。』

 『は、初めて食べました。パンがとっても柔らかくて美味しいしお肉もとっても美味しいです。』

 

 『はうっ、んんんっ』

 アリエルはあまり急いで食べるものだから喉につまらせて苦しそうに呻いている。

 

 「はい、はい、これ飲んで……」

 コーヒーという選択肢もあったがおそらくコーヒーはないかも知れないので反応を見たいという好奇心も疼いたのであえてコーラを渡してみた。

 

 『うっ、うひゃーーーっ、こ、これなんですかぁ?口の中がパチパチしてます。』

 

 「あははっ、まあ、慣れると結構美味しいよ。」

 『はい、案外好きかもです。あぁ~ぁ、もう、なくなっちゃいました。』

 飲むのが早いって...コラーの一気飲みなんてするなよって思いながらおかわりを出してあげる。

 

 アリエルは朝食を食べてないのでまあ、1個ではたりなさそうな目で見つめて来たので、チーズバーがやダブルなど少し品を変えて出してやったが、ハンバーガを合計で6個食べてやっと落ち着いたようだった。

 この食べる量は立派なお胸にいってるのだろうか?

 

 アリエルの食べるのを見ていたら軽く食べたくなったのでデザートにケーキを取り寄せて出した。

 それを見ていたアリエルはまるでハンターが獲物を狙うよな目でケーキを見つめている。

 『…………じぃーーっ……』

 『あのうそれは何でしょう。とっても美味しそうな匂いがしてますが?……』

 

 「これはケーキだけど……」

 『……ケーキ?……』

 

 「そうケーキ……うーん、甘くて柔らかいふわふわのパン生地みたいなものにクリームや果物を使って作ったデザートだよ。」

 『…………』

 

 「食べるか?」

 『ハイ!!、食べたいです。』

 もう、よだれを垂らさんばかりに見つめているので仕方なくケーキをアリエルの方に差し出して自分の分を更に追加で取り寄せた。

 

 《コン、コン!!あのう、メルクリートです。勇者様少しばかりお時間よろしいですか?》

 

 「おい、主が呼んでるぞ!!」

 『……うっ!!いま、メルクリート様が来たらケーキが……』

 アリエルはケーキから視線を外すことなく答えた、たとえ自分の雇い主でもケーキは取られたくないらしい。ウィ奴だ。

 

 「まあ、心配するな。もし、取られたらまた、出してやるから」

 『ホント!!、ホントに本当ですよ、嘘ついたら酷いですからね。』

 

 『はーい!、いまお開けします。暫くお待ちを……』

 

 《勇者様、お時間よろしいですか?……あれ、そのテーブルの美味しそうなものはなんですの?》

 

 「あぁ、これですか?、これはケーキという私の国のデザートで私のスキルで取り寄せたものです。」

 《まあ♪素敵ですわ♪ちょうど2つ用意されてますの?もしかして私が来るのがわかっていたとか、さすが勇者様ですわ、アリエル!!ちょっとお茶を入れて来て頂戴、一番いいものを入れてきてね》

 

 《?どうしたのアリエル?はやくお茶を持ってきて頂戴!!》

 『……ううっ、メルクリート様、そのケーキは私がナオトから頂いたものでございますが……もし、私よりケーキが大事とおっしゃるのであればそのケーキはメルクリート様に差し上げますが……』

 

 《うーん、そうねぇ……どうしようかしら?アリエルも大事だけどケーキも大事だわ。ほんと迷っちゃう。》

 おい!!、そこで迷うんかい!!って突っ込みを入れたくなるがそこはそれ、ちゃんと我慢できる良い子の俺だった。

 

 「メルクリート様、そんなしょうもないことで悩まないで下さい。ケーキならまだありますからご心配いりませんよ。」

 おれはそう言ってまたケーキを取り寄せた。

 メルクリートは俺がだしたケーキを見るとメルクリーのと顔にはぱっと笑顔が広がっていった。

 

 この世界、甘味が少ないであろことは容易に想像は付くんだけどなにここまでなのちょっと引きそうになるわなぁ~

 

 

 アリエルが紅茶を持ってくるとなし崩し的に茶話会が始まるのだった。

 《これほのかに甘くてすごく美味しいです。》

 『んんっ~本当においしいです。まだ、いくつでも食べられそう!!』

 

 「おい、おい、アリエルはさっきハンバーガーを6個も食べたばかりだろう。食べ過ぎだぞ!!」

 「だってぇ、美味しいんですもの~それにデザートは別腹です。」

 

 おう、おう、異世界にも別腹って言葉は有るんだな、まあ、女性が甘いものを好きなのは異世界でも共通ってことなんだろう。

 甘いのってことでちょっと安めのモンブランを出してやった。さっきのはちょっと高めのだったから恐らくこっちのほうがしっかりと甘いはずだ。

 

 『うわ~!! これも食べて良いんですかぁ~』

 《えへっ、じゃ私も食べさせてもらいますねぇ~♪

 ところでアリエル! さっき勇者様のことを"ナオト"って呼び捨てにしていましたね、一体どういうことですか? 勇者様に対して不敬ですよ。》

 

 『だってぇ! 勇者様が呼び捨てで良いって言ったんですもの~♪♪』

 「あぁ、それは俺がそうしてくれって言ったんだよ。元々俺は勇者ではないし、そんな様をつけて呼ばれるのは正直なところ居心地が悪いんだ。」

 

 《へっ、勇者様は称号は勇者ではないんですか?》

 「うん、俺の称号は【世界を変える者、変革者】だ。」

 

 《……そうなんですか?……》

 世界を変える者?・変革者なんて聞いたこともないわ。称号が勇者でなくても魔神を倒せるのかしら?。あぁ、でもエリステレサ様がご依頼されたぐらいですから大丈夫ですよね。うん、きっと大丈夫。

 

 《世界を変える者って称号は聞いたことがありませんけど、エリステレサ様が仰ったのなら間違いはないはずです。》

 

 「ま、そうかもな?、ところでこっちの人のレベルってどれくらいなんだ?」

 そうですねぇ、一般的な平民の成人男性で3,4で5に満たないと言われています。4と5にはかなり厚い壁がございます。レベルが6になると宮廷魔道士になれるくらいですから……

 

 この国で最高と言われる魔道士、ジェシカ・トランゼント。先程、召喚に居合わせた魔道士ですが彼女がレベル8でこの国、恐らくこの大陸で一番の魔道士です。

 人間ではレベル10が限界です。

 勇者様はレベルはおいくつなんですか?」

 

 「…………」

 あちゃ~!!、これって言えないやつじゃん。俺って人間やめてるの?。うーん、なんとかごまかせないかなぁ……あぁ、でも結局バレるならちゃんと言ったほうが良いか?

 

 ゲームをやり込んでるわけでもなくゲーム脳でないナオトには隠蔽の魔法を使ってステータスを隠すって事がとっさには思いつかなかった。

 無論、後日。気がついて隠蔽の魔法をつくってこの国の平均よりちょっと植えって感じに設定をした。

 

 「うん、ステータスのレベルの欄は100ってなってますね。」

 《『えーーーーーっ、ひゃっ、ひゃぁ~くぅっ……100なんですかぁ?』》

 

 メルクリートとアリエルはいきなり驚いてムンクの叫びのような表情になっている。

 まあ、驚くだろうね、人間の限界が10なら100っていうのは人外だろうし驚くなってほうが無理だろう。

 

 《エ、エリステレサ様のお導きでしょうね。きっとそうですわ。そうに違いありませんわ》

 な、ナオトって人間なの? ねぇ人間よね

 

 「あぁ、間違いない。人間だ。種族はちゃんと人族になってるから、メルクリート様が言ったようにエリステレサがやったんじゃないかなぁ、戦えるように強化しておきますなんて言ってたから」

 

 『あぁ~良かった。もし、魔物とかだったら……でも、大丈夫です。ナオトは魔物でもなんでもナオトならそれで良いんです。たとえ実家の侯爵家が反対しても私はナオトと駆け落ちしますから。』

 

 《はぁ~っ? あんた何いってんの? 駆け落ち? そもそもアリエルは勇者が嫌いだったんでは?》

 『私アリエルはナオトの心に触れて気づいたんです。私の伴侶はナオトだって……』

 

 『いつの間にそんな話になってるの?、勇者様は納得しているのですか?』

 「うん、納得というか、アリエルはどうやら王命で体を差し出せって言われてるらしくてさ、まあ、もしそうなったらちゃんと責任は取るよって話だよ。もちろん、現状はなにもないよ。

 何の成果もなしにそういう事をするつもりもないけどね。」

 

 《あっ、ずるーい、ずるーい、ずるいです、ずるいです、ずるいですぅ。》

 《アリエルばっかりずるい!、私も...私も責任をとって下さい。勇者様~!!》

 

 「へっ……せ、責任とってって……あのう、責任取らないと行けないような事をなにかしましたっけ?」

 一体、どうなっているのやら? まっ、アリエルはわかるとしても王女は何だってことなんだ、おれに惚れる要素なんてなにもないだろうに……

 

 《その点については問題ありませんわ♪♪ 責任取らないと行けないようなことを今からすれば良いことですわ。》

 駄目よ、駄目、駄目、勇者様が見事本懐を遂げたら私と結婚して行く行くは王配としてアルスタン王国を支えてもらおうと思ったのに……

 

 あんなに嫌いっていたアリエルがどうして……まあ、いいわ。とにかくなんとして本懐を遂げてもらわないといけないわね。その後でうふふっ?。アリエル♪♪ 見てなさい??

 

 

 はぁ~っ、一体どうなってるのやら...ま、どっちも嫌いじゃないけど、俺は魔神を倒したら帰るんだけどそれを知らないのか?、まあ、倒した後で言えばいいか、取り敢えずは黙っておこう。

 

 なんかなぁ~

 まだ、何も始まらないうちから頭を悩ませることになった直人だった。

 

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