とある伯爵夫人のお話2

 学院を卒業したクラウディア・コッホはすぐに幼なじみと結婚することとなる。


 元々、両家では殆ど婚約に近い約束がされていた。

 クラウディア・コッホとしても、恋愛感情では無いにしても、親愛の情は持っていた相手なので特に拒絶する理由もなく、幼なじみも同じような気持ちだったようで、すんなりと決まった。

 コッホ家には三人の娘しかいないので、幼なじみは婿入りすることとなり、父レロイ・コッホが研究に専念するために領主を早々に引退することとなった事で、クラウディア・コッホは伯爵夫人となった。

 それから、二人の男子と一人の女子に恵まれたクラウディア・コッホ伯爵夫人は、貴族の夫人としての義務はこなしたとばかりに、歴史研究に熱を入れ始めた。

 だが、その最中に訃報が届くことになる。


 この女が慕っていた、サーラ・ルマ侯爵令嬢――ソードル家に嫁ぎサーラ・ソードル――が亡くなったのである。


「あああ!

 なぜ!?

 あの美しく、聡明な女性が何故こんなにも早く!」

 クラウディア・コッホ伯爵夫人の胸は張り裂けそうになり、その場に泣き崩れた。

 さらに心を痛めたのは、失意のルーベ・ソードルからの手紙の内容のためだ。

 そこには、愛しの妻がいないこの世界への失望が書きつづられていた。

 そして、そのために仕事が手に付かず、不便をかけているであろう領民に対する申し訳なさ、そう思いながらもなにも出来ない自分への苛立ちなどが書き連ねてあった。

「ああ、ルーベ様!

 お可愛そうに!

 ディアが――あなたの忠実な僕、ディアが今、参ります!」

 クラウディア・コッホ伯爵夫人は自分を引き留める幼い子供たちをそのままに、屋敷を飛び出ていった。


 王都の外れにある、公爵家別荘にルーベ・ソードルはいた。

 幾人かの男女と淫らな夜会を催していて、クラウディア・コッホ伯爵夫人が立ち入った時、ルーベ・ソードルはケラケラと下品に笑っていた。


 だが、クラウディア・コッホ伯爵夫人には分かっていた。


 それが心の底からのものでは無い事を。

 実際、ルーベ・ソードルはクラウディア・コッホ伯爵夫人を見つけると、その笑顔をぐしゃりと崩した。

 そして、ふらふらと近づくと、強く抱きしめた。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人は流れる涙を抑えることが出来なかった。

「ああ、ああ、お可愛そうに!

 ご安心ください、わたしが、わたしが!」

 そして、ねやに入ると、初めて、ルーベ・ソードルと肌と肌を重ねた。

 強く強く重ねた。

 乱れるクラウディア・コッホ伯爵夫人にルーベ・ソードルは悲しげな表情で囁く。

「ディア、ああディア、わたしを助けてくれ……」

 その都度、クラウディア・コッホ伯爵夫人は応える。

「ええ、ええ、お任せください。

 わたしにお任せください!

 あぁ……わたし……!

 ルーベ様の為、そう、サーラ様の為にも……」

 愛しい人を自身の胸に埋めながら、そう誓った。


 そこからのクラウディア・コッホ伯爵夫人の行動は早かった。


 ルーベ・ソードルから家令に任命されると、ソードル領の公爵邸執務室に籠もり、停滞していた仕事をこなし始めた。

 オールマ王国の貴族、その家令といえば当主補佐であり、その当主が王都などに出ている場合は当主代行となるのが一般的である。

 指輪印同様、貴族院に登録が義務付けられている代行印を使用する権限すら与えられている。

 その事もあり、クラウディア・コッホ伯爵夫人はただ仕事をするだけではなく、この際だからと公爵領の改革にまで手を伸ばし始めた。


 流石公爵領と言うべきか、良い人材がそろっていた。


 だが、それ故というべきか、怠惰な面も見受けられた。

 特に、書簡などをきちんと書かず、省略する者もいた。

 忙しいというくだらない理由で、である。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人はそういう愚か者に対して、厳しく叱責した。

 ある時など、一週間、ほぼ徹夜をしたとかいう下らない理由で誤字をしでかした者に対して、その大量の書類を燃やすという形で処断した。

『たった一文字じゃないかぁぁぁ!』などと泣き叫ぶ男を扇子で叩き、高き身分の者に仕える事がいかに光栄か、そして、大きな責任を伴うのかを長い時間をかけて説いた。

 一見厳しさのみが全面に出ているクラウディア・コッホ伯爵夫人であったが、この女、それだけでは人は育たないという事を知っていた。


 だから、温情を与える。


 さらに一日の猶予を与えて、完璧に――先ほどより良い物を作ってくるように、と呆然とする男に微笑みかけた。

 本来であれば、閑職に飛ばされても文句の言えない男に、挽回の機会を与えたのだ。

(わたしには人を育てる才能がある)

と満足げに頷いた。

 もっとも、”愚かな”その男は、クラウディア・コッホ伯爵夫人のその優しさも察することが出来なかったようで、仕事を放り出すように館の窓から飛び降りた。

 それを聞いたクラウディア・コッホ伯爵夫人は「なんて責任感のない男なんでしょう!」と憤ったという。


 優秀だと思っていた公爵領の政務官達であったが、志は残念ながらクラウディア・コッホ伯爵夫人が望むほど高くなかったようで、例の愚かな男と同じようになるか、他の領へ職を移していった。

 そうなると、人手が足りなくなり、さすがのこの女も困った。

 そこで、コッホ伯爵領にいた父レロイ・コッホの教え子などを半ば強引に勧誘し、ソードル領に連れてきた。

 さすがのこの女も、少々無理をしてしまったこともあり、元伯爵領の政務官達には口を挟まなかった。

 だが、公爵領側には相変わらず厳しく接し、さらに人を減らしていった。

 そのことで、政務官長マサジ・モリタをはじめとする公爵領側の人間に苦言を呈されることもあったが、高々子爵の、しかも法服ほうふく貴族およびその取り巻きなど一蹴した。

 だが、一度、食い下がられて劣勢になった時があった。


 この女、学者肌で知識は多く保持していたものの、政治屋ではない。


 故にこの女、弁はそれなりでも、論はさほど立たない。

 根っからの政治屋である政務官長マサジ・モリタなどには、そういった部分では叶わない。

 悔しさの余り、歯を強く噛みしめた。

 だが、そんな女にも救いの手が差し伸べられた。


 その主こそ、ルーベ・ソードルである。


『つべこべ言わず、ディアの言う通りにしろ!』

 などと、自分の腰を引き寄せ、凛々しく言う姿に、クラウディア・コッホ伯爵夫人は失神しそうなほどトキメいた。

 その事もあり、クラウディア・コッホ伯爵夫人は、ますます熱心に改革に勤しんだ。


 クラウディア・コッホ伯爵夫人は公爵領の政務を取り仕切りながら、ある思いが沸き上がって来た。


 妄想と言っていい。

 いや、自身がそうだと言い訳をしていると言うべきか、そんなものがボコボコと音を立てて心の表面に現れて来た。


 それは、自身が公爵夫人になるというものだ。


 憧れのサーラ・ルマ侯爵令嬢の代わりになる。

 それは、彼女が生きている間であれば夢想だにしない事だった。

 だが今、あのサーラ・ルマ侯爵令嬢はいない。

 そして、代わりに公爵領を取り仕切っているのは誰か?

 数は少ないものの、ルーベ・ソードルと閨を温めているのは誰か? 


(わたしだ)とクラウディア・コッホ伯爵夫人は思ってしまうのだ。


 地味で勉強しか取り柄のない女が、(あの方の代わりになる)。

 部屋でそんな事を考えながら、顔を赤く染め、身をクネらせたりもした。

(そんな事はありえないわ!

 ありえない!

 ええ、ありえない!

 でも……公爵家のためを考えたら、それが一番であるのも確か。

 どうしましょう!

 でもわたしは今、伯爵の妻ですもの……)

 今のうちに離縁をしておこうか、などと考え、夫や子供達にそれとなく匂わせたりもした。


 ところがである。


 そんな女をどん底に突き落とす出来事が起きた。

 ルーベ・ソードルに子供がいることが発覚したのである。


 しかも、その母親はあのミザラ・イーラであった。


 ソードル家には令嬢一人しかいない。

 必然、男子であるその子供は名家ソードル家の嫡子となり、よりによってその母親であるミザラ・イーラが公爵夫人になってしまった。

「あの品性の低い女が!?」

 絶望するクラウディア・コッホ伯爵夫人に追い打ちをする出来事が起きる。


 家令の職を解かれたのである。


「他家の夫人が何で家令なんかやっているの?」

という、初めて公爵領にやってきた”公爵夫人”ミザラ・イーラあらためミザラ・ソードルのげんから、あっさりと解任されることとなったのである。

(この女ぁぁぁ!)


 クラウディア・コッホ伯爵夫人は腹の底が煮えくり返る心地になった。


 学生時代、自分を叱責してきた先輩を排除に乗り出した。

 そう思ったからだ。


 だがこの女、なにも出来ない。


 学生時代は家格差で見下せた相手を立てなくてはならない。

 あの、尊敬してやまなかったサーラ・ルマ侯爵令嬢と同じように敬わなくてはならない。


 愛する妻を失った殿方の悲しみに”付け入った”だけの売女をだ。


 そんな理不尽な目にあってもこの不埒な女に対して、深く頭を下げざる得ない現実に憤った。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人は下唇を噛みながら、叫び出したくなるのを必死でこらえた。


 もっとも、ミザラ・ソードル、クラウディア・コッホ伯爵夫人という先輩の事など覚えていない。


 女の家令と聞いて見に来たが、地味な伯爵夫人だと知り、気にする必要もないかとあっさり思った。

 ただ、男遊びのあれこれしか頭にないであろうミザラ・ソードルにしては珍しく、至極まっとうな正論を言っただけであった。

 その証拠に、ミザラ・ソードルという女、家令を辞めさせたが、クラウディア・コッホ伯爵夫人を追い出すつもりは無く、自分の息子であるマヌエル・ソードルの家庭教師という適所に就かせた。


 公爵嫡子の家庭教師――伯爵夫人にとって大変名誉のある事である。

 しかし、クラウディア・コッホ伯爵夫人にとっては屈辱以外の何ものでも無かった。


 卑しい身分の売女、その血が混じった子供に文字を教えなくてはならない。


 そう思うだけで、胸を掻きむしりたくなった。

 頼みのルーベ・ソードルも妻となったミザラ・ソードルに強く言うことが出来ないようで、『済まないディア』と言って王都に行ったっきり公爵領に戻ってこなくなった。

 その事で、ますます苛立ちを強くした。


 そしてそれを、ミザラ・ソードルの息子にぶつけた。


 勿論、暴力を振るったりはしない。

 手を上げるなど卑しい者の所行だと思っていたし、侍女長ブルーヌ・モリタを始めとする使用人に騒がれると面倒なので、しなかった。


 その代わりに、心を抉った。


 失敗すればまるで全てを失うかのように悲観し、成功すれば取るに足りない事だと流した。

 特に公爵家長女、エリージェ・ソードルが優秀だった事もあり、『姉君であるエリージェお嬢様は一日三十家完璧に覚えたのに……。わたしの教え方が悪いのでしょうか……』などと何度も溜息を”見せ付けた”。

 その事で、売女の面影があるマヌエル・ソードルの顔が苦しそうに歪んだ。


 それに、クラウディア・コッホ伯爵夫人の心は浮き立った。


 あのヘラヘラと軽薄な女を重ねて、胸が高鳴った。

 だから何度も何度も繰り返した。

 別に暴力どころか、罵声すら浴びせている訳ではないので、誰もその行動を止められない。

 あの煩わしい政務官長マサジ・モリタの妻、侍女長ブルーヌ・モリタとて何も言えない。


 だから、機会があれば何度もおこなった。


 クラウディア・コッホ伯爵夫人はまるであの憎き売女の顔を踏みにじっているような、そんな気にすらなった。


(ざまあみろ、ざまあみろ、ざまあみろ)


 そんな憎悪と愉悦がごちゃ混ぜになったクラウディア・コッホ伯爵夫人の心に、しばらくすると別のものが交じり始めた。

 涙で潤んだマヌエル・ソードルの黒い瞳、そこに、ミザラ・ソードルとは別の人を見たのだ。

 それに気付いた時、クラウディア・コッホ伯爵夫人は強い衝撃を受けた。

 そして、自室にこもると寝台に身を投げ出し、下腹部に手を伸ばした。


 別の人――それはクラウディア・コッホ伯爵夫人が敬愛して止まないルーベ・ソードルであった。


 あの凜としたルーベ様が虐められて泣いている。


 まるで強力な媚薬に犯されたかのような心地になり、ビクンと背中を反らした。

 そして、荒い息を落ち着かせながら、クラウディア・コッホ伯爵夫人はにやりと笑った。


(……ルーベ様が悪いのですよ。

 わたしを放っておくから……フフフ)

 それが日課になった。


 それから、五年の月日が流れた。


 その日の早朝、朝食を取った後、のんびりとお茶を楽しんでいる時に、突然、公爵令嬢エリージェ・ソードルが領に戻ってきたと知らされた。

 ルーベ様も? と色めき立ったクラウディア・コッホ伯爵夫人であったが、令嬢一人と聞き、静かに失望した。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人にとって、エリージェ・ソードルは正直興味の対象外であった。

 容姿こそサーラ・ソードルに似ていたが、華やかさに欠けると評価をしていた。

 ただ、ミザラ・ソードルの息子が公爵家を継ぐくらいなら、あの無愛想な少女の方がマシ、ぐらいには思っていた。

(そういえば、エリージェ式などというものを王都の公爵邸で広げようとしているらしいわね。

 まったく、しょうがない……)

 クラウディア・コッホ伯爵夫人としても、エリージェ式の有用性は認める所ではあった。


 ただし、商人などの平民であればという但し書きは付くのだが。


(格式の無い者ならともかく、大貴族で簡略を多用する”あれ”では話しにならないわ。

 注意して差し上げなくては)

 御夕食前にでも……などと思っていたのだが、それより前に対面する事になる。


 エリージェ・ソードルによって、マヌエル・ソードルの勉強場所を勝手に変えられたのである。


 クラウディア・コッホ伯爵夫人は怒りで震えそうになった。

 一時は家令として公爵領を取り仕切っていた自分が、落ちぶれた先である家庭教師という領域、それすら犯されそうになっている。


 そう強く感じたからだ。


「お嬢様、勝手なことをされては困ります!」と感情のまま怒鳴り込んだ。

 そして、更に苛立たせたのは、十歳そこそこであるエリージェ・ソードルに軽くいなされたからである。

 どころか、国歌の事で鋭く自尊心を抉られる事となった。

(なんでわたしが、こんな小娘に軽く扱われなくてはならないの!?

 エリージェ式とか煽てられて甘やかされているだけの子供のくせに!)


 ところがである。


 エリージェ・ソードルが騎士に対する指示書――それに使用する万年筆を見て、この女、呆然とする事になる。

 少女のまだ小さな手に握られている、やや大ぶりのそれにはオールマ王国の紋章の後ろに羽で出来た筆と杖が交差した絵が描かれていた。

 父レロイ・コッホが愛用していた――少女だったクラウディア・コッホが憧れていた――あの万年筆だった。

「お嬢様、その万年筆は……」

 クラウディア・コッホ伯爵夫人が絞り出すように訊ねると、エリージェ・ソードルは事も無げに答えた。

「?

 ああ、これは学会に貰ったものですよ」

 心によぎった言葉は(噓よ!)だった。

 そして、(噓……よね? あのエリージェ式で?)と続いた。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人は(馬鹿馬鹿しい)と笑い飛ばしたかった。


 だが、この女は出来ない。


 あの万年筆は学者にとっての名誉であり誇りなのだ。

 だからこそ、学会から授与されなければ手に入らない。

 そういうものなのだ。

(なんで、こんな子供が持ってて、わたしが持ってないのよ!

 エリージェ式程度だったら、わたしだって!

 わたしだ……って……)

 そこでこの女、気付く。気付いてしまう。


 自分が学会に論文を提出した事が無い現実に。


 この女、愕然とする。


 名門コッホ家に生まれ、父親に憧れ、自身の才覚を確信し、学者になる事を信じて疑わなかった自分が、その実、何一つ残す事が出来ていない。

 たった、十歳をわずかに過ぎた程度の子供ですらしてきた事をやれていない。

(わたしは……。

 わたしは一体何を今までやっていたのだろう?)

 学院に入りルーベ・ソードルと知り合い、サーラ・ルマに出合い、華やかな薔薇園の中を過ごしていた青春時代――ルーベ・ソードルの側にいればまた再び訪れると思っていた。

 でも、公爵領に来てからの生活はそのようなものほとんどなかった。

 いや、違う。

 そもそも学院の頃から知っていたはずだった。


 クラウディア・コッホ伯爵夫人という女は薔薇園の中にはけして入る事が出来ないのだと、知っていたはずなのに……。


 薔薇園のふちではしゃいでいる内に、いつの間にか中に入ったと思い込んでいた。


 思い込んだまま、けして入る事の出来ない”そこ”を後生大事に守っているつもりになっていたのだ。

 本来やるべき事を放り出したままに……。

 だからこの女、何も為し得ていないのだ。

(そんな事は無い!

 けしてそんな事は無い!)

 クラウディア・コッホ伯爵夫人は必死に否定した。

 そして、この女、心に沸き立つ思いを必死に抑えるためにエリージェ式を否定した。

 思考に耽ると取り返しの付かない事になりそうだった事もあるし、何より、欠点を指摘しなければ負けたままになってしまう。

 そう思ったからだ。

 自分の浅慮を恥じさせたい。

 少なくとも、指摘されて悔しがらせたい。

 そんな思いで、わざと尊大な態度で指摘をした。


 ところがである。


 エリージェ・ソードルは「確かにそうですね」とあっさり認める。

 そして、クラウディア・コッホ伯爵夫人をそのままに、さっさと改善しようとする。

 何の感慨も見せぬその様子にクラウディア・コッホ伯爵夫人は(相手にする価値がないとでも言うの!?)と屈辱を感じた。

 そして、さらに自身の家庭教師という領域を侵す発言をされて、クラウディア・コッホ伯爵夫人の心はグラグラと揺れた。


 だから、言ってしまう。


 万年筆を手にしていなくても、エリージェ・ソードルを始めとする多くの人間にその才覚を認められているクラウディア・コッホ伯爵夫人が、愚かにも言ってしまう。

 仮に”それを”望んでいても、やりようなどいくらでも思い付いたであろうこの女が、直接的なものを言葉にのせて言ってしまった。


「公爵家に混ざりものなど不要です。

 高貴なる血脈こそ相応しい。

 そう思いませんか?」

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