-27- 「金髪のエミリー」
ある日の放課後、古物屋一角堂によると、商品棚に初めて見る人形が置いてあった。
西洋人形と言うのだろうか、金髪の可愛らしい人形だ。
値札にはエミリーとだけ書いてある。
「坊ちゃん、その人形が気に入ったのなら、よければ持って帰ってください」
レジ台で店番をしているお兄さんが、声をかけてきた。
「子どもさんからお代を頂戴しようなんて言いません。幸いまだ値段を決める前でしたし、ロハで結構です」
そう言われて、僕はちょっとその人形を見つめて考えたけど、結局棚に戻した。
この人形、見た目は可愛らしいのだけど、何だが目がまるで生きているように異様にリアルで、こちらをじっと見つめている。
「要らないんですかい? その人形も、坊ちゃんのことを気に入った風なんですがね」
尚も食い下がるお兄さんに、僕は愛想笑いを返してお店を出た。
一角堂のお兄さんも、あの人形も、全然悪いヒトじゃないんだけど、女の子を家に連れて帰るのはさすがに問題があるだろう、と思ったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます