-20- 「訪問ばばあ」

 一人で留守番をしていた時、家の電話が鳴った。


 出てみると、おばあさんの声で「今から参ります」とだけ言って、ガチャンと切れた。


 僕は家中の戸締りを確認し、戸や窓を全て閉めて鍵をかけた。


 しばらくすると、インターホンが鳴って「参りました」と、さっきのおばあさんの声が聞こえた。


 無視していると、インターホンを何度も何度も押して「参りました。参りました」と言い続けてる。


 戸や窓を壊して中に入って来る様子はないので、僕はテレビをつけてゲームを始めた。


 こたつに入ってお茶を飲んでいたおばあちゃんが、玄関に気付き「おや、お客さんかい?」と言った。


 僕が「訪問販売の人だから、放っておいて良いよ」と答えると、おばあちゃんは「そうかい」と言って煎餅を齧り始めた。


 そのまま放って置いたら、いつのまにかいなくなっていた。

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