風の音

ゲジゲジと教室

俺たちは命令された。

教室に蚕の繭がある。それを取って来いと。

一体なんだってんだ…。

言われた教室にやってきて、恐る恐るドアを開けた。

驚愕した。

大量の毛虫が湧いていた。黒板にも、椅子や机にも。何匹も引っ付いて、うねっていた。

俺は、恐々足を踏み入れる。

特に虫たちは襲ってくることは無いようだ。

繭はすぐに見つかった。2個見つけた。

何個とは言われなかった。

俺はすぐに帰ろうとした。

しかし、近くにあった椅子が気になった。

なぜか座りたい衝動に駆られた。俺は無意識にその椅子に腰かけた。

特に何も起きない。ただ、虫たちが蠢いているだけだ。

そうして、俺は立ち上がった。

その時、気がついた。俺が座っていたところに、ゲジゲジがいた。

ゲジゲジは何事も無かったかのようにゆっくりと椅子から下りていった。

俺たちは、その場を後にした。