ケモナーの初イベント!2
「「あ、どうもこんにちは」」
「こちらこそこんにちは」
イベント会場へ転移するとアリスとフロスの前にはすでに三人の男がいた。
反射的に男達に挨拶をする。すると男達も揃って挨拶を返してくれた。
「それじゃお互い大会頑張りましょうね」
「おう……お互いにな」
そう言って二つの組はそれぞれ逆方向に向かおうとする。
「「あ、兄貴! あいつら敵やで!?」」
「……ってフロス! あの三人敵だよ!? なんでナチュラルに会話してんの!? いや私も挨拶はしたけどさ!」
「「敵だって!? どこに!」」
フロスと兄貴がそれぞれ辺りを見渡す。
「目の前だよ!」
二人のボケにその場にいる全員がついついツッコんでしまった。
「「ああ、お前か!」」
「「「今更!?」」」
「あんた達息ぴったりだねー……さて、アリスどうする? 逃げる? 戦う?」
フロスは一旦冷静になりアリスの判断に任せることにした。
「誰のせいよ……ま、せっかくの大会なんだし逃げるわけには行かないでしょ!」
アリスは三人の男を前に意気込む。
「ほう……ワイらとやる気か! 2対3とて容赦はせぬ! しかしこれから命を賭けて戦うのや、自己紹介くらいはせぇへんとな。我が名はアーボ! 後ろに控えとるのはイーボとウーボや!」
おそらくリーダーなのだろう、アーボが大きな声で自己紹介をする。勢い余って他の者の出番を取ってしまったようだ。
「ちょ兄貴! せっかくの女の子でっせ!? 自分らも喋りたいっす!」
「そうやで! 兄貴ばかりずっこいねん!」
ウーボ、イーボがそれぞれ文句を言う。
「ええい黙り! ほんで、お二方のお名前は?」
「フハハハハ! ここであったが100年目! 我が名はフロス! 我が望むは其方らの命! 今ここで頂戴する!」
フロスもアーボに負けない声量で自己紹介する。
「おお! もしかしいドラゴンカプセルのファンか?」
「え? 知ってるんですか!?」
「ああ! もちろん知っとるって! もしよければやけど……今度語り合わへん?」
「いいですね! 語りましょ!」
すっかり意気投合してしまった二人は固く握手を交わす。
「コホンっ! さて、そちらのお嬢さんも自己紹介をお願いしてかめへん?」
「あ、私はアリスです」
「ちょっとちょっと! そこはしっかりとかっこいい挨拶しようよ!」
「え……私もあれやるの!?」
いきなり無理難題をぶっ込まれたアリスは困惑する。
「さて、改めて、お嬢さん自己紹介をお願いしてかめへん?」
アーボもノリノリでフロスに乗る。
「ええ……一応敵ですよね……?」
「名乗りは待つのが礼儀やろう!」
「……わ、我が名はアリス! わ、我が望むは其方らの命! 今ここで頂戴する!」
アリスはフロスの真似をしてアーボ達を指差して決め台詞を言う。アーボ、フロスはそんなアリスを冷たい目で見ていた。
「な、なんでそんな目で見るのよ!」
体制を戻し、両の手を強く握り二人に問う。
「いやあ、セリフ丸パクリはちょっと……」
「自分の言葉でやることが重要や。それじゃあフロス嬢の自己紹介やで。ほらもういっぺん!」
「なっ……! いい加減にしてよ! 【ウィンド・オブ・スラッシュ!】」
アーボとフロスの悪ノリに痺れを切らしたたまたま近くにいたウーボに攻撃する。
「うぇっ! なんでわい!? 普通兄貴っしょ!?」
まさか自分がターゲットになるなど夢にも思ってなかったウーボは驚きのあまり体制を崩し転んでしまう。
「うるさい! どのみち敵でしょ!」
「んな殺生なぁ! まあ……やられっぱなしじゃおらへんよ! 【スラスト!】」
お返しと言わんばかりに突きを繰り出すウーボ。それをアリスは紙一重で躱す。
「避けたか、ええ反応をしとるの」
「反射神経だけは自信あるので……!」
攻撃しては防がれ、また防いでは攻撃を繰り返す二人。
そして意気投合して未だに話しているフロスとアーボ。
そんな二組の間でどちらにも置いていかれ入りそびれた人物が一人。
「あはは……お空きれいだなあ……」
置いていかれた者の名はイーボ。どちらにも入れないと察した彼は考えることを放棄した。
「ちょっとそこ! いつまで語り合ってんの!? 私もう戦ってんだけど!」
いつまでも戦いを始めようとしないフロスとアーボに痺れを切らし叫ぶ。
「んもう……分かった! そろそろやるからこっち来て!」
「あんたらがこっち来い!」
随分とイライラしているようだ。フロスは大人しくアリスに従いアリスとウーボが戦っているところへ向かう。
「2対3やけどほんまにええんやな? 手は抜かへんぞ?」
一度仕切り直し元のチームの形に戻る。アーボ、イーボ、ウーボ(以下アーボ三兄弟)とアリス、フロス対面している形だ、
「2対3何を言ってるんですか? 5対3ですよ?」
「5対3? 何を言うとんねん?」
「こう言うことです【
アーボの疑問に応えるように三匹のモフモフを呼び出す。
「な……モンスターだと? どないなっとんだ!?」
「さあ、やりましょうか! みんなやっちゃえ!」
「ちょ! それは反則やって! いきなり三体向かわせるってワレら鬼か!」
リルが吠える。するとアーボ三兄弟の足元が凍った。続けてバスクが毒を、リルが氷の礫を放つ。
「動けへん……! こんなん戦いいうんか!?」
先程考えることを放棄したイーボが吠える。
「イーボ、これも戦術や。潔く負けを認め。フロス嬢、次は……倒すで」
決め台詞を残してアーボ三兄弟は消えていった。
ちなみにこの間、ポチはひたすらウーボを引っ掻いていた。
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