逃走

私は昼食にロコモコ丼を食べた。ゼルトマン博士はビールを飲みながらロコモコ丼を食べていた。

ゼルトマン博士はあのビーチにはハワイモンクアザラシがいるので立ち入り禁止だと私に教えてくれた。

ハワイモンクシールは、繁殖に時間のかかる動物なので、20世紀に入ると保護活動が始まった。

私は昼食を済ませてから砂浜へ出掛ける事にした。



私はいつも来ている砂浜で歩いていた。

スマホを落として慌てた私は例の男の人と出会ってしまった。

頭から冷水を浴びせられたような気分になった。

(どうして…)

その茶髪の男の人は右手に私のスマホを持っていた。

「これ、君の?」

落とし物を拾ってくれたのはありがたい。

緊張で表情が強張った私は男の人の手からスマホを素早く奪い取って逃げた。

私は息を切らしながら走って逃げた。

(どうして…。あの人が私のことを…?)

疑問は膨らむばかりだ。

ありがとう、の一言も言えずに…。

ようやく研究所に着いた。

私は玄関でビーチサンダルを脱ぎ捨てて、自分の部屋の中に入った。

あの人は一体何だろう?どうして私に話し掛けたんだろう?

呆気にとられた私はベッドの枕に顔を埋めた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る