おかわりください! ~もし大食い競争がオリンピック競技になったら~

朝日夜

プロローグ

 現代では数多くのスポーツが存在する。

 球を使った競技、チーム対抗で行う競技、道具を使用する競技。そして、己の身一つで行う競技。


 スポーツは古来から人と密接な関係を持ち、その中でも四年に一度開催される世界的なスポーツの祭典であるオリンピックでは数多くの人類を熱狂の渦に巻き込んでいた。


そして、ある年から新たに登録された競技がスポーツ界に波紋を呼んだ。

 

――新競技「大食い競争フードファイト


 そう、ただひたすらに喰らい続け、制限時間内でどれだけの量を平らげることができたかを競うものである。

 民衆は疑問に思った。果たしてこれはスポーツとして呼んでいいものなのかと。

 これを見て、本当に盛り上がることができるのかと。



 ――否! その評価は直ぐにひっくり返されることになる!


 何と、新競技「大食い競争」は数多い種目の中でも、トップクラスの人気を誇る存在になっていたのである。


 世界は今、空前の大食い競争ブームが巻き起こっている。

 それは、日本でも例外ではない。

 世界に和食を広めた、生粋のグルメ大国でもあるこの国でも、地上波で最も視聴率が伸びる放送タイトルは一年に一度開催される大会「全てを平らげろ! 全国大食いバトル!!」である。

 男女関係無く汗水垂らし、頬も腹をも膨らませ、一心不乱に眼前の皿に盛られた大量の料理に没頭する彼らの姿を人々は


大喰いの戦士フードファイター


と、呼ぶようになった。

  

 そして、今日も全国で彼らの軽快な声が鳴り響く。


――おかわりください! と。

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