第540話 舞台裏
ビザ領では何人かの子供達が作業を教えながら進めており、出せる指示を出し終えたカルラは結果待ちの時間を作った為に一度屋敷に戻ってきていた。
「ヘルマン、はめましたね。」
「おや、カルラよく帰ってこれたね。」
「おかげさまで!ズルさんとルマさんが協力的でしたので予定より早く時間を作れました。
でも、また行かないと行けないんですけど!」
カルラは言葉の端に交代させろと滲ませる。
「やはり、カルラが適任だった。
これからも頼む。」
ヘルマンは気付きつつも流す事にする。
「覚えてなさい!貴方とデーニッツの評価を地に墜としてあげます!」
カルラは自身が適任者と理解はしているが、納得している訳ではなく、自身を嵌めたヘルマンとデーニッツに復讐のために薄い本を発注する事を心に誓う。
「まあ、そんなことよりカルラ、君の私物が窃盗にあってな。」
「・・・窃盗って、屋敷から盗める訳が・・・
また、私を使ったの!」
カルラは私物を何かの作戦に使われたと気付く。
「なに、おとうさんにタカった上、無礼な奴に天罰を食らわすために使ったのだ、事後報告で済まんが理解してくれ。」
「・・・わかりました、それで何を盗ませたんですか?」
「アクセサリーを3点程盗ませ、売らせた。」
「おとうさんから貰ったものじゃないですよね?」
「大丈夫だ、全部マックスから贈られた物だ、おとうさんから貰った物を盗ませる訳がないだろう。」
「それならいいのですが・・・」
マックスが贈った物の方が価値は高いのだが、子供達からすればたとえどんな宝石よりヨシノブから貰ったビー玉の方が大事であった。
「それにマックスからの贈り物の方が都合がいい。
きっと、我々の望む判決を下してくれる。」
ヘルマンは結果まで予測してこの状況を作り上げていた。
そもそも、警備が厳重な屋敷から見つからずに出れる訳が無いのだ、金銭の無いモトキならアクセサリーに手を出すと思い、見える位置に配置、まさかツケ払いで大量購入してくるとは思わなかったがただ罪を重ねるだけの結果だった。
「あとはカルラが悲しそうな表情でマックスに盗られた事を伝えればいい。」
「わかったわ、でも、協力するからには早めの交代人員を送ってくれるかしら?」
カルラはヘルマンに見返りとして早く帰還できる事を願う。
「後ろ向きに検討することを約束しよう。」
「早めに結論を・・って、後ろ向きって!検討する気ないじゃない!」
ヘルマンはカルラの返答が来る前に逃走するのだった。
「待ちなさいヘルマン!!」
カルラはヘルマンを追いかけ走るのだった。
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