第526話 カルラ
「ズル見事だ、よく一声で纏め上げた、その将器今後は私の為に使うが良い。ネルソン、ズルに私の幕僚になってもらう。手続きは頼んだ。」
マックスはズルを傘下におさめ、まずはロモンを纏めることにする。
ロモンにも少なからず噴火から逃れてきた者もおり、徐々に混乱が始まっているところだった。
「マックス様、食糧の陸揚げは完了しました、以後の管理はお願いします。」
カルラはマックスの兵士の一部を借り、かがから食糧を陸揚げしていたのだ。
「おお、カルラさん、これぞ内助の功と言うやつですな。」
「違います。」
「わっはは、皆、カルラさんが食糧を用意してくれておる、これで民が飢えることはない、炊き出しの準備をしろ。」
マックスの指示で炊き出しが行われる。
避難民で食うに困っていた多くの者が助かることになるのだった。
「マックス様、今ある分だと足りなくなる事は明白です。私はデーニッツと一緒にもう一度、食糧を運んで来ます。」
カルラはマックスに現状を伝え、食糧を持ってくることを約束するが・・・
「なっ!カルラさんは帰るのか・・・」
「帰ると言うか、取りに戻るだけですよ。」
「・・・私も一緒に行く。」
「はい?何を言っているのですか、今1番大事な時じゃないですか、何のためにここまで来たのですか?」
「うっ、それはそうなのだが・・・」
マックスとしてはこの数日が幸せだった分、離れたくない気持ちは絶大だった。
だが、マックスに救いの手が現れる。
船から降りてきたデーニッツがカルラに伝えるのだ。
「カルラ、こっちに連絡所を作るから、そこの責任者を任せるぞ。」
デーニッツはヘルマンと話し合っており、事前に連絡所の設置は決まっていた。
ただ、カルラに伝えるとハルノブから離れる寂しさから断りそうだったので直前まで秘密にされていた。
その言葉にカルラは悟る。
「・・・デーニッツ、謀りましたね。」
「謀ったも何もマックスはカルラの担当だろ、早く帰りたければ、さっさと混乱を鎮める事だな。」
カルラは悔しそうな表情を浮かべている、逆にマックスは満面の笑みを浮かべていた。
「デーニッツくん、君は気が利くな。
騎士団に士官するなら隊長職を用意するぞ。」
「入りません。家族の側を離れる気は無いので。」
「うむ、ヨシノブの子達ならそう言うと思ったがな。」
「マックス様、早くこの混乱を鎮めますよ。」
カルラは早く帰りたいが為に全力を尽くすしか無かった。
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