第418話 救援活動

権限をもらった俺達はすぐさま行動を開始する。

まずは灰が積もり、綺麗な水が無かった為にすぐさま水を支給する。

それと共に港に施設を建てて、炊き出しと食料の配布を行いつつ、そして街の有力者との話し合いを開催する。

「皆さんにはこのズムから一時避難してもらおうと思います。」

「・・・故郷を捨てろとおっしゃるのですか?」

「心苦しいですが・・・

山がいつまで火を噴くかわかりません、それにいつ山の火が街を襲うかもわかりませんので、山が鎮まるまでは別の所に避難していただきたく。」

「別の街に行ってどうするんだ!

職も無く奴隷になれとでも言うのか!」

この世界では奴隷にされることが多々ある。

職を失い、住む場所を無くせばすぐに奴隷に堕ちる事になるのだった。


「住むところは保証します、土地も余っている土地を開拓出来るようにします。

食料も最低3年は支給いたします。」

「信じられない!」

「そう言って俺達を奴隷として売り払うのだろう!」

俺の言葉は住人達に届かない。


「ヨシノブ代わるぞ。

俺はルクスだ、皆には第二王子、いやシリアの婚約者と言えばわかってもらいやすいか?」

ルクスが王子であり、シリアの婚約者と名乗る事でさっきまで反対の声を出していた者も静かになる。


「山が火を噴き、不安なのもわかる、新天地で新たに暮らせと言われても信用出来ない気持ちもわかる。

だが見よ!

今この地に残って何が出来る。

灰が積もった畑に作物が育つのか?

火を噴く山の側に貿易に来るものがいるのか?

飲水に事欠く状況で生活ができるのか?

そして、今のこの街で子供達が安心して成長出来ると思うか?」

ルクスの声が住人達に染み渡る。


「第二王子として約束しよう、君達を奴隷として売り払いはしない、当然だ!

君達は我が国の民なのだから!

王家の私が我が子たる国の民を奴隷としてなるものか!

皆、私を信じて欲しい。

マインズ王国第二王子として、ビザ家シリアの婚約者たるルクスの名を!!」

住人達はひれ伏す。

そこには反対の声が聞こえることは無かった。


住人達が納得して移住の準備を始める中。

「ルクスが王子だと初めて感じたよ。」

「ヨシノブ、俺もやる時はやるんだよ。

それより住人達への援助はお願いできるか?」

「勿論任せてくれ、食料は俺の力でいくらでも生み出せるからね。」

「不思議な力だが頼らせてもらう。」

「それで何処に住んでもらうんだ?

俺が開拓した島でもいいんだが?」

「いや、違う国というのも不安にさせるだろう。

私の領地に来てもらう。」

「そういえば、ルクスも領地持っていると言ってたね。」

「ああ、王族として管理してある土地がある。だが用意できるのは場所だけになるが、ヨシノブが協力してくれたら大丈夫だろ?」

「まあね、じゃあ住人達を船に案内頼むよ。」

俺は港に置いてあるいずもへの案内を頼む。

住人達の信用を得ているルクスが適任だろう。

俺はルクスに任せて炊き出しの方に向かうのだった。

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