第397話 桐谷流?

状況を見守っているとシモの刀から放たれた多数の小さな光は刃の形となりアアを囲んでいた。

「逝くのよ、桐谷流奥義、落花繽紛なのよ!」

シモが刀を振ると光の刃がアアを串刺しにしていく。

「ぎゃあぁぁぁ」

アアの魂の悲鳴が木霊する。


「リョウ、あれお前もできるの?」

「で、できない・・・」

「お前は後継者だろ?」

「爺さんの技は特殊な物もあるんだよ、あれはあの刀があるからできる技で・・・」


よく見ると光の刃がアアの魂を食い始めた。

「ぎゃあぁぁぁぁぁ、我の魂がぁ・・・」

「ケンちゃん、残さず食べるのよ。」

光の刃は情け容赦無くアアを食い尽くしていく。


「・・・リョウ、桐谷流ってなに?」

「俺に聞くな。」

どう見ても剣士の技では無かった。


「おとうさん、見てたのよ?シモは勝ったのよ♪」

光の刃がアアを食い終わってからシモが嬉しそうに俺に飛び込んできた。


俺はシモを抱きとめ。

「シモ、よくやったね。

強い子に育って俺は嬉しいよ。」

「うにゅ、シモ頑張っているのよ。

でも、もっと強くなるのよ。

お姉ちゃんは強くあるのよ。」

「そうか、応援しているよ。」

俺はシモの頭を撫でる。

「うにゅにゅ、おとうさんに撫でられるの好きなのよ。」

シモは先程までの戦闘が嘘のように俺に顔を擦り寄せ甘えてくるのだった。


「な、なぜだぁ・・・何が起こっているのだ・・・」

一方、離れた所で様子を魔法で覗き見ていたアーロンは信じる事が出来なかった。 

アーロンが呼出したのは伝説の剣聖イゾウと最高神アアであった筈だった。

しかし、それが敗れるとは想定外だった。


「・・・仕方ない、一度退きますか。」

アーロンは一度はあわてたものの、冷静に考える。

まだ、神竜ブレザと魔王の副官アイギが残っているが二人と互角に戦う者がおり、進行を止められていた。

今、アアとイゾウを倒した三人を止めれる戦力がいなかった。

このままでは三人はアーロンの元まで来てしまう。

アーロン自身は負けるつもりは無いものの、戦闘になると万が一もある。

来る前に撤退して後日、再度奇襲を仕掛ければいいだけだ・・・


アーロンは魔物を多めに呼出した足止め、そのスキに撤退するつもりだった・・・


ポタッ!


「なんだ、雨か?」

魔物を呼出した所で背中に1滴雫が落ちてきた。

アーロンは雨かと思い何気なく手で拭くとそれは血だった・・・

「血?なんなんだこれは?」

アーロンは混乱するが血は雨のよう降り注ぎ始める。

「何が起こっている・・・」

アーロンが空を見上げると空から落ちてくる物があった。

それは落ちてくる途中にいた魔物を斬り刻み、アーロンがいるところまで自由落下してくる。


アーロンは飛び退き、落ちてくるものから距離をとった。

落ちてきたものは地面に激突して土煙をあげている。

「何が落ちてきた?」

アーロンは土煙の中を目を凝らして見るとそこには人影がゆっくり立ち上がる姿があったのだった・・・


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