第300話 リョウ電話をかける

「リョウなんで異世界に行ってるのよ!」

アズサを含めて、ミウ達女の子にリョウは電話越しに叱られていた。


「いや、成り行きで仕方なく・・・」

リョウも必死の抵抗で言い訳をしていたが。

「こいつ、ノリと勢いで間違って異世界行きの船に乗ったみたいだよ。」

俺がアキラさんとシモから聞いた事実を伝える。

「なっ!ヨシノブなんでその秘密を!」

「シモとアキラさんから聞いたよ、スサノオさんと話してて勢いで乗ったんだろ?

お前らしいよな。」

「て、てめぇこの状況で言うか?」

「美少女並べたハーレム野郎が何を言う、少しぐらいみんなに怒られろ。」


「そうよ!リョウくん!少しは考えて行動するように言ったよね?」

「リョウどうするのよ!」

女の子達は口々にリョウの心配と忠告をしていた。

暫くしどろもどろ言い訳しているリョウを眺めていたが・・・


「皆さん、こいつまだ隠しているけど、帰国出来るかもしれない船を持っているみたいだよ。」

「だから、なんで知っているんだよ!」

「異世界を渡れる船をもらったんだろ?」

「もらったけど、使い方がまだ確定してない。」

「調べりゃいいじゃないか、なんで隠す?」

「・・・それはみんなに心配かけたくなくて・・・」

リョウは目をそらす。

実に正直な奴だ。


「違うだろ?お前、異世界に来て少しテンション上がっているんだろ?」

「そ、そんな事はない・・・はずだと前向きに検討してます。」

「正直だな、異世界転移何て狙ってできないからなぁ〜」

「あ〜そうだよ、だって気になるじゃん、どんな物も日本と違うんだぞ?」

「まあ、そうなんだけどな、画面越しの彼女達に言ってみろよ。」

「・・・あっ。」

「リョウくん、どういうことかな?かな?」

「待てミウ、これには深い訳が・・・」

「無いよね?興味が勝っただけだよね?」

幼馴染みのミウにリョウの下手な言い訳は通用しない。


「リョウ、一度帰って来てお話しましょうか?」

アズサの笑顔は笑ってないのがよくわかるほど怒っていた。


「ヨシノブ、どうしよ?みんな怒っているよ!」

「当たり前だ、一度帰ってこい。」

「また来れるかな?」

「説得すれば何とかなるだろ?」

「説得出来るかな?」


「・・・努力次第だ、さあ爺さん連れて帰れ!」

「・・・ヨシノブ、お前の狙いはそれか!」

「当たり前だ、爺さんをここに置いたら俺の修行が待っているじゃねぇか!」

「やだよ、連れて帰ったら俺に被害が出るじゃないか!かわいい孫のシモちゃんと一緒においてやれよ。」

「孫はお前だろ?爺さんの老後の世話ぐらいしろよ。」

「可愛がっているのはシモちゃんだけだ!

可愛くない孫は身を引くよ・・・」


「お前達・・・楽しい話をしておるのぅ・・・」

「アキラさん!」

「じいちゃん!」

「二人とも暫く根性を鍛え直さないといけないようだな。

アズサさん、ミウ、リョウの帰宅は少し遅くなるわい。」

「爺ちゃん、俺はもう帰るよ!シモちゃんと仲良くな!」

「逃さん!」

外に走り出そうとしたリョウは足に一撃を喰らいのたうち回る。

「さて、さっそく始めようか・・・」

俺達は電話もそのままにアキラに連れて行かれるのだった・・・

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