第277話 マックス空をかける
「これが空か!」
マックスは感動していた。
離陸の時の圧力は苦しかったがそれでも比べ物にならないぐらいの感動がここにあった。
「どうだ、マックス。」
「素晴らしい!いやもう、何って言ったらいいんだ!」
感動して言葉に詰まっているマックスを置いて、ヨシノブの機体の周囲にエーリヒ率いる空軍が編隊を組む。
『おとうさん、僕達の練習を見てください。』
「エーリヒ、みんな上手くなってるな。」
『もちろんです、テオドール隊、ブルーノ隊おとうさんの前だ、練習の成果を見せろ。』
『『ラジャ!』』
テオドール隊とブルーノ隊は曲芸飛行を見せる。
「あのような動きまで・・・
ヨシノブも出来るのか?」
「出来ますね。でも、やりませんよ。身体にかかる負荷が酷いからね、初めてのマックスを乗せてはやらない。」
「俺は大丈夫だ!」
『マックスさん、無理はしてはいけません。おとうさんが判断した以上、それが正しいのです。』
俺に意見するマックスをカルラが止める。
「カルラさん、いや、折角だし・・・」
『駄目ですよ、嘔吐物が喉に詰まったら最悪死んでしまいますから、訓練もしていないのですから、少なくとも今日は止めてください。』
「カルラさん、そこまで俺の心配を・・・わかりました、ヨシノブ無理を言ってすまない。」
「いや、わかってくれたならいいが・・・っとあれは?」
海上に襲われている船を見つける。
俺は低空を飛び様子を見る。
「ヨシノブ、襲われている船は我が国のマインズ王国の商船だ、助けてくれないか!」
「そういう事なら了解だ、ポチッとな。」
俺は93式空対艦誘導弾を襲っている船に撃つ。
当然だが襲っていた船は爆散する。
その光景にマックスは声が出ない。
俺は襲われた船を見るが、既に帆は焼かれており、船もいくらか焼かれて航行に支障がありそうだった。
「カルラ、船の破損が酷いようだ、この船の救助をショウくんに依頼してくれ。」
『了解しました。すぐに手配致します。』
俺は襲われていた船の救助を手配して、帰路につく。
基地に戻るとマックスが興奮気味に聞いてくる。
「ヨシノブ!さっきの攻撃は何なんだ!」
「あれがあの乗り物のメイン武器だ。」
「あのような物があるなんて・・・」
マックスには信じられないようだったが。
「先日、俺が被害を受けた攻撃はあれぐらいじゃ済まないんだ、もちろんこの国に攻撃させるつもりは無いが、他にもいるという事は覚えておいてくれ。」
「わ、わかった・・・陛下がヨシノブの事を特別扱いするのがよくわかったよ。」
「俺は敵対しない以上、俺から攻撃する事は無いと約束するよ。
マックスは軍に顔が効くみたいだから、よく覚えておいて欲しいんだ。」
「脅されると反抗したくなる性分だが・・・
無理だな、あれ程の差があれば戦いにもならない。
よき隣人として付き合っていきたいものだ。」
マックスは手を差出し、握手を求めてくる。
俺はその手を取り握手を交わす。
「俺もだ、ルーズ王には良くしてもらっているからね、出来たら争いたくない。」
「任せろ、と言ってもこの国にヨシノブに危害を加えようとする奴はほとんどいないと思うがな。」
マックスは豪快に笑う。
そこにカルラがお茶を持ってくる。
「失礼します。お茶をお持ちしました。」
「おお、カルラさん、先程は心配していただき感謝致します。」
「マックスさん、あ、あの手は離して貰えないでしょうか?お茶を入れれませんので・・・」
マックスはお盆を置いたカルラの手を握っていた。
「こ、これは申し訳ない!」
マックスは慌てて手を離す。
「いえ、お茶を入れますね。」
カルラはそのままお茶を入れて部屋から下がっていった。
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