第126話 ユカリの電話

「お父さん、お母さん!」

家族に電話をしたユカリは泣いていた。

その姿は聖女として傲慢だった姿は見受けられなかった。


事情を話したユカリは俺に電話を変わって欲しいといい、電話を渡してくる、

「電話を代わりました、ヨシノブと言います。」

「この度は娘が御迷惑をおかけしてます、ユカリの父、リュウヤと申します。」

「ええ、ユカリさんの罪を失くす事は出来ませんが、なるべくの庇護はしたいと思っておりますので。」

「よろしくお願いします。ただ、娘の話だと連絡がつくのがヨシノブさん達が滞在中だけとの事ですが・・・お願いします!何とか連絡出来る時間を多くしてもらえませんか?」


「とは言いましても、自分達の本拠地は別の国でして、この国で罪を犯したユカリさんを連れては行けません。」

「そんな・・・」

「なるべく誰かが来て連絡出来るようにします。」

「お願いします!どうか娘をお願いします!」

リュウヤは必死にお願いするだけだった。


俺は自衛隊の山本にも、ツバサの事を連絡した。

「君は何をしているんだ、子供がいくら逆らったとはいえ、殺すなんて・・・」

「たぶん死んではいませんが・・・

こちらでは命が軽いのですよ、殺そうとするものを殺さずに終わらせるのは自分の死に繋がりますからね。」

山本も気持ちはわかる、自身も戦場で自分を殺しに来た者を生かして帰しはしないだろう。

だが、それでも立場上言わなくてはならなかった。

「それでツバサくんはどうなったのかね?」

「わかりません、撃ったあと消えましたから。日本に帰っていないならこちらの世界にいる可能性がありますね。」

「うむ、此方でも調べてみるが、現在ツバサくんらしき人物の報告はないな。」

「そうですか。」

「それでもし、そちらにいたらどうする気かね?」

「敵対するなら、始末します。

まあ、殺せない用ですから、何らかの手段が必要に為りそうですが。」

「止めてもらいたいところだが、言っても変わらんのだろうな?」

「そうですね、俺達が生きるために必要ですから。」

「私は聞かなかった事にするよ、ただ、君の保護下の者はどうか守ってくれないか?」

「努力はしますよ。」

こうして自衛隊との話し合いは終わったのだが・・・


ユカリと連絡がついた事を知ったツバサの父親ヒロノリが怒り狂う。

何で自分の子供と連絡がとれないのか!


カエデの親モミジに話をつけに行こうとするも・・・

「お帰りください、モミジ様はお会いになりません。」

玄関で追い払われる。

ツバサの話を聞いていたカエデの親モミジやマイの親ユウキは話そうともしなかった。


「あいつらは自分の子供と連絡がついているから・・・」

そして、ヒロノリは暴挙に出る、

ヨシノブの存在を聞いていたヒロノリは香織の家を襲撃するのだった、

ヨシノブの妹を人質にとり、自らの要求を通すのだ!


ヒロノリはナイフを仕込ませ、香織の家に・・・


「其処の男、止まれ!」

ヒロノリが門に立った瞬間二人の男に拘束される。

そして、すぐさまボディーチェックをされ・・・

「ナイフ所持を確認、捕縛します。」

「容疑者を連行せよ、なお他は引き続き、警護を続行せよ。」

他国に備えた分厚い警護の前に、一般人のヒロノリはなす術もなく捕まってしまう。


そして、厳しい尋問の元バックボーンの確認を行われ、警察に引き渡される。


ヒロノリにかせられた罪はナイフを持っていた事、危害を加えようとしていたことが尋問により明らかになったことで、傷害未遂と銃刀法違反で逮捕される。


そして、逮捕された後でツバサの状態を聞かされるのであった。

「ツバサがうちの息子がそんな事をする筈がない!

何かの間違いだ!」

「残念ながら事実だ、君の息子のツバサくんは友人のタケフミくんに拷問をかけ、ヨシノブさんに斬りかかったそうだ。」

「嘘だ!」

ヒロノリは認めようとしなかったが、事実が変わることはない。


そして、犯罪を犯した事も・・・


犯罪者になったヒロノリは会社から解雇され、一家が路頭に迷う事になるのだった・・・

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