第91話 拠点

残った二十人程の住民を仮設テントにうつし、工事を始める。

町には廃墟に近い住居が多数あり、施設を建てるのに邪魔な為に重機を使い一度更地に変える。

サリナ、ショウも手伝い、瞬く間に更地になっていく。


更地になった場所から施設を建てていく、まずは兵士の待機用に独身寮と官舎を二種類建設する。

その上で官舎の一棟を住人用に解放した。


独身寮は個室に分かれておらず団体生活を余儀なくされるが、部隊として行動するのに都合がいい為、待機要員として常時百人が順番で宿泊する事にしている。


そして、完成した官舎を見て、住人も兵士も驚いている。

作りは鉄筋四階建てになっており、部屋は3LDK、トイレ、風呂付き、

日本の居住スペースを見て、カルチャーショックと共に此処に住んで良いことに驚いている。


まあ、官舎でも最新の良い方を作ったのだ。

俺達は家の使用方法を説明する。

水、お湯が使えること、トイレの衛生面に更に驚いていた。


そして、食堂には現代日本で食べられるような様々なメニューが有料で食べられる、

ただし、日替り定食だけは兵士と住人は無料で食べることができ、最低限の生活の保証はしている。


売店では日本の生活必需品を販売しており、

医務室も建てて生活しやすくした。

住人と兵士の生活環境はかなりよくなった、


「こんな所に住んでいいのか?」

「広いよな、それに綺麗だ。」

兵士の中にはヨシノブに確認するものもいる。

「ヨシノブ様、此処に家族を呼んでも良いですか?」

「家族を?俺はいいけど、ルクスさん良いのかな?」

「構いません。ただ、迎えの船はどうしましょうか?」

「それなら、店に品物を卸す時に帰路に乗ってきたら良いよ。」

「お手数をかけます、聞いたか、ヨシノブさんの好意で家族を呼んでも良いことになった、ただし、全員同時にこの地を離れることを禁じる、手紙で呼べるものは手紙で呼ぶように。」

一般兵の多くはあまり裕福ではない。

ヨシノブに同行している者達は比較的ましな待遇だったが、それでもこの基地の生活に比べれば天と地の差だ、多くの兵士が家族を呼ぶことにした。


ルイスが王都で雑務にとらわれている間に、ヨシノブの領地はマインズ王国の人間で溢れる事となっていた。


そして、港湾設備として、五隻が停泊出来る埠頭に、ドックが完備された。

なお、埠頭には燃料を補給する設備もあり、俺達が運用する、護衛艦の使用を想定している。

そして、郊外に滑走路も建設した、いざという時は戦闘機を使用するためだ。


こうして俺達は日にちをかけながら、拠点を作り上げていった。

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