たいせつないのち

ハメリュ

第一話

あるところに、とてもなかのよい、かぞくがすんでいました。

そのとなりの、かぞくとも、そのまたとなりのかぞくとも、みんな、みんな、むらじゅう、なかよしでした。

あるひ、そのくにと、もうひとつのくにが、せんそうになって、みんな、こわくておうちにかくれてたけど、たくさん、おおきなおとがして、ドーンってなったら、すこしはなれたおうちが、かじになって、あっちでも、こっちでも、いえがやけて、ちいさいこたちを、だっこして、ひのないところをにげて、にげて、にげて。

それでも、ドーンとおとがして、おいかけてきて。

ちだらけのたおれたおばちゃんがこどもたちに、はしってにげなさいっていってるけど、ママとはなれられないよ。

つぶれたいえにむかって、こどものなまえを、ママとパパはさけんでる。

どんどん、せんとうきがとんできて、なかよしかぞくは、ちりぢりに、なった。だれも、たすけにこない。だれもしらない。

まっくろの、むらをとぼとぼあるいて、ひとりになった。

そこに、たおれて、ぼくもむらになった。

みんな、むらになった。

つちにかえった。

むらのひとしか、しらないものがたりさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る