第66話 勉強会ですか?

※設定解説回なので、文字数多めです。この回以降に設定解説回の予定はありません。※



 ヘルドさんが正面に立ち、僕とアイリス、シーマくん、アースさんが対面に座った。


 本当は僕達三人なんだけど、アースさんも興味があるらしく、参加するとの事だ。


 どうやらアースさんもヘルドさんもお互いの事を気に入ったようで、昨晩の宴会では一緒に飲んでいたくらいだ。



 では、どうしてこういう『勉強会』になったのかというと……。


 先日の戦争後、僕が全力で『要塞都市ゲビルグ』のゴミを回収した。


 その事により、遂に僕のレベルが八から九に上ったのだ。


 この時に覚えたスキルとかもあって、それをアイリスに相談していたら、偶々通りかかったヘルドさんが詳しく聞かせろって脅さ――――聞かれて、レベルが九になりましたよと言うと、「お前ら、レベル九と十については分かってるか?」と言われ、分からないと返事したら褒美に『勉強会』を追加してやろうと言われたのである。



「では、アレクのレベル九の達成を祝して、今回の勉強会を開く。アース殿は既に『壁』を超えているだろうから問題ないだろう。この中でレベル九を達成出来たのはアレクだけか?」


 の問いに、申し訳なさそうに、アイリスが手を上げた。


 えええええ!?


 アイリス!?


 いつの間にレベル九に!?


「実は、前回の戦争の直前にレベル九になってました」


 いつものアイリスの『魔女ノ衣』が進化した『暗黒ノ魔女』というスキルが使えるようになったとの事。


 例の黒いドレスが『暗黒ノ魔女』というスキルみたい。



「全ての能力のレベルが十まである事は皆も知っているだろう。しかし、レベル九を『壁』を呼んでいる事は知ってるか?」



 『壁』?


 僕達三人は分かりませんと返答する。


「実はレベルには秘密事項がある。この『壁』という秘密事項は非常に大事な情報だ。心して聞け」


 それからヘルドさんの説明が続いた。


 口調は荒いけど、とても分かりやすい説明に、僕達はヘルドさんの説明を直ぐに理解し、どんどん吸収していった。



 レベルの秘密事項。


 それは、多くの人が辿り着く事が出来ないレベル九からの事項である。


 そもそもレベル九ですら、人類の中でも極僅かの人しか辿り着けない境地だ。


 だから、多くの人々には関係のない話なので、公開はされてない情報との事。



 まず、レベル九になって大きく変わる点。


 それは必ず、レベル九では新しいスキルが貰えて、それは『スキル』の中でも、上位スキルとなる『奥義』になるそう。


 どんな能力でも、必ずレベル九では何らかの『奥義』を覚える。


 しかし、大事なのはこの『奥義』である。


 世の中には、同じ能力が沢山ある。


 寧ろ、少数の能力を持った人の方が珍しいくらいには、殆どの人々は同じ能力を持つ。


 例えば、能力『魔女』を持つアイリスに、能力『錬金術師』を持つシーマくんですら、同じ能力を持った人は沢山いるのだ。


 この人達は基本的に差が殆ど生まれない。


 種族によるステータスに差はあるみたいだけど、レベル八まで覚えるスキルは全て一緒だ。



 問題はここから変わる。


 レベル九で覚える『奥義』は、世界にたった一つしかない『スキル』である事だ。


 つまり、アイリスが使える『暗黒ノ魔女』というスキル、もとい奥義は、アイリスにしか使えないスキルだ。


 他の能力『魔女』を持った人がレベル九になったら、その人によって覚える『奥義』は全て違うという。


 ヘルドさんの奥義『天地崩壊』もまたヘルドさん専用奥義である。


 『奥義』には大きく二種類に分かれる。


 一つはヘルドさんが使える『天地崩壊』タイプの一撃必殺の技系統。


 一つはアイリスが使える『暗黒ノ魔女』タイプの自分自身を補助する系統。


 どちらが優位でって事はないけれど、役割分担は出来るという事だ。


 先日戦った守護神相手なら、アイリスが足止めに最適な奥義だし、ヘルドさんが粉砕するのに最適な奥義だ。


 でも片方だけでは、恐らく守護神には勝ててないだろう。


 こういったように、それぞれで長所短所が存在するので、どちらが優位って事はない。



 こうした系統は、シーマくんのような能力『錬金術師』でも同じ事が起こる。


 『錬金』を一瞬で終わらせる奥義があったり、一定時間『錬金』の質を高めてくれる奥義があったりと、千差万別だ。


 シーマくんは、まだレベルが七なので、九になるまではまだまだ掛かるから、それは楽しみに取っておくしかない。





 では、話題を戻し、今度はレベル九の先の話だ。


 レベル十。


 それは超人を意味する言葉であり、誰でも届く境地ではない。


 理由としては、レベル九まではひたすらに研磨していけば、何れ辿り着けるだろう。


 勿論、能力によってはレベルを上げられる条件は難しいので、個人差はある。


 僕みたいにゴミをひたすら収集するだけでレベルが上がる人は、楽な方かも知れない。


 しかし、ゴミ収集でレベルが上がるのはあくまで九まで・・だそうだ。


 つまり、ここからはひたすらにゴミ収集ばかりしても、僕がレベル十になる未来はないとの事。


 それはアイリスにも言える事で、アイリスの能力『魔女』のレベルアップ条件の『魔女の能力を使い続ける事』をこなし続けてもレベル十にはなれない。



 レベル十になるには、『特別な条件を達成』する必要があるからである。




 その『特別な条件』が非常に問題で、人それぞれが違うのだ。


 だからレベル九を『壁』を話すそうだ。


 この場に、ヘルドさんとアースさんという、レベル九を超えし者が二人もいるのが異次元な話なのだ。

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