　悠太は、いつも戸や襖を最後まできちんと閉めなくて、ちょっとだけ隙間が空いている。

　だから、僕はお兄ちゃんとして、きちんと閉めるように注意する。

　すると悠太は、「面倒くさいよ。何でいちいち、きちんと閉めなきゃいけないの」と文句を言う。

　僕は「戸や襖は閉めるためにあるんだから、きちんと閉めなきゃ」と教えるけど、悠太は今一つ納得できない顔をする。

　でも、本当の理由は別にある。

　本当は、中途半端にちょっとだけ隙間が空いてると、向こう側からこっちを覗きこむ奴がいるからだ。

　悠太は怖がりだから言わないけど。

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