第28話無知蒙昧(むちもうまい)

さて、行方不明だったはずの子が普通に居るという話を聞いたところだが,

どうしたもんだか。シュリーにもどうするのと聞かれている

そもそもの話として本当に行方不明なのか?本人が身を隠してるだけの可能性もあるし。同時多発の線を加味しなければではあるが。

本人が失踪して無くて、居るならそれにこしたことはないんだが、一度会ってみる必要があるか。学校の友人にも知られてないとなるとその子が出勤するまで毎日店に通うしかないか。

む、何故かシュリーが、不満そうな顔をしてる。

「本当はそんなことにかこつけて毎日店に行きたいだけなんじゃないの」

「そりゃ誤解というもんさ、大体めんどくさいんだよね、知らん女の子となんか話ししないといけないの、もうおっさんだからな」

よく考えると毎日行くのは却下だな。正直しんどい。現実問題どうしたもんか。

「式を使ったらどう?」とシュリー言う

式?式神のことだろうか。式神もいろいろあったはずだけど。

「だいたい俺に式作れるの?」

「あんたの力何のためにあるの。安倍晴明とかいいじゃない」呆れ顔のシュリー

そっか、その手があったか。俺は早速安倍晴明を降ろす

「とりあえず形代かたしろで行きますか」

そういって俺は紙を切り出した。気分は某教育番組の緑の帽子をかぶった人だ。

できた形代に九字をきって式神化する

目的はたまちゃんが出勤してくるのかを見張ること。初めてにしてはいい形にできた。まあ清明の技量なんだが。ともかく監視のために俺は式を店に飛ばす

「ほへー、こりゃすごいなあ」

目をつむると式神の見ている情報が自身の脳裏にフィードバックされる。

まるでVRのゲームをしているかのようだ。

さすがにずっと見ていると疲れるので店に張り付かせて必要な時だけ連絡をよこすようにして俺は眠りについた。

式を飛ばしてから一週間ほどたった夜のこと、俺は腕を焼かれるような痛みを受けて目を覚ました。見ると左腕が赤くなっている。

「どうかした?」隣室で寝ていた。シュリーが入ってくる。

「いゃ、わからない、なんか気がついたら腕が赤くなってて」

俺の腕をみたシュリーが青ざめる。

「まさか、これは式返し」

「お、おこれが世にいう式返しか」とか俺はのんびり返事をする

「なにをのんびりしているの、返された場合は全力で防がないとやばいわよ」

大丈夫だよ、と返す。

バシッ、近くで夏のコンビニの青い電灯で虫が感電したような音が聞こえる。

「こんなこともあろうかと、ちゃんと結界を張っておいたのさ。これからは真田さんと呼びたまえ」

「真田誰よそれ?」さすがに知らないか。

まあまあと話を流しつつ

「しかし、たまちゃんだっけ?普通の子に式返しとか無理だよな?」

「この件も当たりっぽいわね。一般人には無理だし、となるとやっぱりバックにいるのかしら」

しかし店に行った際には何も感じなかった。だから店がどうとかではなく、たまという人間個人に関係したところになるか。

しかも返してきたということは警戒はしているが姿を隠す気はないということだ、隠すなら隠形印などつかうだろし。ある意味宣戦布告と言ってもいい。

翌日も、同じように式神を飛ばす。

22時をすぎたころから昨日と同じように式返しをしてきた。が今回は結界を張らずに待ち受ける。

式返しの呪詛を帯びた式が俺に体当たりをして、呪いを受けて俺の体は激しく朽ちていった。

「うわ、さすがにあんまりいい気はしないなあ。」

朽ちていく自分。あんまり見たくない。できの悪いゾンビ映画のように自身の体が腐っていく。

「ほんと気持ち悪いわね」横でシュリーも顔をそむける。

「しかしこの短時間でここまでできる呪いって相当なものね」

二人とも冷静なのは呪いを受けたのは依代よりしろで俺自身じゃないからだ

シュリーが言うにはこんなに短時間で人を腐らせる事は難しいらしい。

昨日よりさらに強く 明確にこちらに対する殺意がうかがえる

さて無事に?私の身代わりも死んだことですし、次の手を打ちますか。

俺は折り紙で鶴をおる、こんなのは小学生以来だ。折りあがった鶴をみてシュリーが一言「なにそれ」

「いやあ、一応折り鶴のつもりなんだがな?」

正直折り方があまいのか変な形。

「誰だって苦手なことの一つや二つのあるわいな」そういいながら印を結ぶ。

俺を襲ってきた式は役目を終えて術者のもとに帰るはずだ。

それを追跡させるために。また式神を飛ばす。今回は感知されないようにリアルタイムでの情報送信はなしだ。これで帰ってくるのを待てばいい。

二時間後飛ばした式が帰ってきた。

式から情報を受け取る。飛んで行った先はどうも市内のビルのようだ。何々、スーパーマルチクリエイター「Rチャイル」の事務所?何だそのよくわからん肩書。名前がRチャイルなのか。俺はそいつをネットで検索してみるがほとんどヒットしない。そんな名前なのにネットに情報がないっていったい何の仕事なんだ。顔写真は見つかったが30代くらいのアジア系ぐらいとしか見当が使いない。

いきなり事務所に押しかけるのも問題だしな、俺はシュリーと話したうえでしばらくは監視をつけて探ってみることにした。

もちろんその間店には直接式は飛ばさない。

俺は式を近くのビルの上に配置してRチャイルの事務所を見張ることにした。

一日目

昼間は目立った動きはない、事務所にはいるようだが全く出てこない。

20時を過ぎた頃から動きがある

どうやら歓楽街に繰り出してキャバクラに顔出してる様子。閉店までいた。

二日目

今日も昼間は事務所から出てこない、そして夜になると出かけていく。行動パターンは昨夜と同じ感じだ。

三日目

前二日と全く同じ、昼間は事務所から出ない。一体いつ家に帰ってるんだ。

それから二週間監視したが。

「なにこいつ、毎日キャバクラいってるんですけど、しかも日々違う店やし。

収入源なに、いったいなにやって稼いでるの?」俺はため息混じりに経過をシュリーに伝えたというか半分愚痴だ。

「なんだうらやましいの?やっぱりキャバクラ行きたいの」

「いや、そんなんじゃないし、まともに働いてなさそうなやつが遊んで暮らしてるのがなあって」世の中は理不尽だ。

「大我も似たようなもんじゃん、んで、何かわかったことは」シュリーは軽く無視だ、まったく、そもそもこうなったのはあんたのせいでそれまでは善良な小市民だったはずだ。

まあ、今さら言っても詮無きことなんで仕方なく俺は気を取り直して行動を整理する。

奴が通っているキャバクラ、それは全部行方不明者が出た店だった。

状況から見るとこいつで決まりなんだろうけどな。決定打にはたりないが。あとは直接会ってみるしかないか。しかし式返しをされた時点で俺の存在はばれている可能性がある。となると。俺はシュリーをみる。こいつには無理だろうなあ。

じっとシュリーを見ているとさすがに気がついたのか、なんよジロジロ見てと言ってきた。

「いやなにね、シュリーが、キャバクラで潜入してくれたらなあと思ったんだけどなあ」

「なんだそんなこと?かまわないわよ」

「いやいや、シュリーキャバクラがどんな仕事なのか知らないよね?」

「この間ので大体わかった」

俺はいぶかしる。

「酒飲んでおっさんに酒ついだらいいだけだろ?」

そんなわけあるかい!俺は内心っこんだ。あやまれ、全国のキャバクラで働いてる人に。

無知蒙昧むちもうまい

無学で何も知らないさま

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