第24話暴虐非道(ぼうぎゃくひどう)
あれから俺と雪音はそのまま学校へ向かった。
学校に着くと門をあける。
「あれ、変ね鍵が開いてるわ」どうも誰かが先に入っているらしい。
今日はシュリーがいないので、対象がどこにいるのかわからない。
事件が起きた旧校舎は火事で現在はない。
となってくると、考えられるならおそらく彼らが集まってた美術室だろうか。ともかく考えうる範囲で可能性が高い場所、美術室へと向かう。
美術室は3階建て校舎の一番奥の端にあった。
俺と雪音は黙ってそこに向かう。
二人に会話はない。突然襲いかかられても困るので、早九字を唱えて結界をはる。
一応雪音にもかけておく。雪音は角を曲がるたび、びくびくしながら進む。
俺を恐喝していた彼女と妖異を恐れている彼女。一体どちらが本性なのだろうか
美術室までは何も起きないで歩きついた。
しかし、美術室の扉の前で俺はその異様な雰囲気を感じ取った。
どす黒い重い、けだるくなるような、感覚。シュリーがいなくともわかる。間違いなく「いる」と。
ドアを開ける前に俺は武蔵を降ろした。
ゆっくりとドアを開けた先、目の前に大きな顔があった。
俺と同じぐらいの大きさで。焼けただれた顔で。だが両目は大きく見開かれていて、
「いやああああ」
雪音が恐怖にかられて走り出す。
「ばか、とまれ」俺は叫んで雪音を追う、これは典型的な罠だ、追い込み漁の様なものだ、案の定廊下いっぱいの顔が俺たちを追いかけてくる。想像通りならこの先に。
やっぱりいた。雪音の走る前方に六体の怨霊が天井に張り付いている。
「だめだ、とまれ、上を見るんだ」
叫んだが止まらない。無理もない普通なら発狂してもおかしくない。
天井から 六人が降ってくる。全員目が無く四つん這いになってその眼球の無い目でこちらを見ている。
俺はにじりよってくる怨霊たちと距離を保つため、少し下がった。
不意に背後に気配を感じで振り向きざまに刀をないだ。
後ろには追い込み役が一体いたはず。
背後の怨霊は耳の付け根まで口を開いて今にもこちらに咬みつこうとしている瞬間だった。
ないだ刀で首と体が分断される。
ドちゃと言う音とともに首が落ちる。体は数歩進んでその場に倒れた。起き上がってこない。
おかしい、手ごたえが無さすぎる。七人ミサキといえば一人ずつ入れ替わりで成仏していき、消滅させることはできないはずだ。こうも簡単に倒せるはずが。
よく見ると残りの六体も女子高生の霊体のままのようだ。今まで死んでいる男性教師のような奴らの姿は見当たらない。死んでいる奴らと入れ替わってないということはこの子たちは違うんじゃないだろうか。しかしミサキではないとするといったい。
しかし考えている暇はない、六人がにじりよってくる。
俺はわざと壁に背中をつけた一見追い込まれているように見えるが多数と、対峙する場合背中を壁にすることで、背後を気にしないですむための戦術だ。霊に使えるかわからんけど。
四体が、俺を取り囲む、残りは雪音を取り囲んでいる。
雪音が何かを投げた、投げたものを2体が追いかける。一体何を投げたんだ、
どうも人形のようだったが。
投げたものを2体の怨霊は八つ裂きにしている。
身代わり人形的ななにかだろうか
そもそもなんで雪音がそんなものを持っているんだ無茶苦茶用意周到なんだが
だが人形も換算すると7人までこれで、残りひとり、
俺のほうを取り囲んでる4体は動かない、どちらかというと動こうとするのをけん制しているような感じだ。
雪音は自分になにか黒っぽい粉をかけた。
「これで残り一人、あんたが死んだらこれで私は助かるわ」
先ほどまで恐慌は一体どこに、もしかして演技だったのか。
「藁の灰か」
「そうよ、さすがに知ってたわね」
7人ミサキはなぜか藁の灰を嫌うことがあり、襲われた場合は藁の灰をまくと助かると言い伝えがあるのだ、身代わり人形を襲っていた2体は雪音に戻りつつあったがそのまま見失っている。そのまま見失うと素通りしておれを取り囲んでいる4体と合流した。
ただ取り囲んでいるだけなのでいつでも突破できるような気もする、試しに1体を袈裟懸けに切りつけてみるがそれを読んでいた方のように後ろに下がって距離をとられる。武蔵の剣の速度だ、簡単に見切れるものではない。
ということは動きが読まれていることになる。
こちらの出方が読まれるのであれば先に攻撃させればいいのだ、武蔵ならそれができる、後の先というやつだ、しかし6体も相手に可能なのだろうか、いや武蔵ならできる、俺はそう思って体を楽にした、余計な考えは体の動きを鈍くする。
抜刀した状態でだらりを二本の腕をさげる
構えに型の名などがあるのだろうがよく知らない、宮本武蔵像にある構えだ。
向こうから仕掛けてくる感じはしない。そんな調子で睨み合いが、続く。
その時悲鳴が聞こえた。雪音が復活した一体に襲われている。藁の効果がなくなったのか。くそ、助ける義理もないが、さすがに放っておくわけにも行かないか。
突然、「なぜ」、 という問いかけが頭の中に響く。
なぜ?、目の前で人が襲われていたら助けるもんだろう、俺はその問いかけに答える。犠牲者たちだろうか
『私たちは彼女に復讐したいだけ。全ての原因はあの女なのよ』
君たちの気持ちはわかる。
『いいえ、わからないでしょ』
瞬間周りの景色が美術室の風景に切り替わる。
どうやら火事の日の出来事を、見せられているらしい。七人の女生徒たちが、教師に襲われている。思わずやめろと叫んで教師に殴りかかったがこぶしは空を切った。
『ありがとう、ここは過去の幻想。何もできないわ、でもそんなあなただから私はこれを見せた』
そう言って美術準備室を見せる。そこには醜く笑っている雪音の姿があった。
「へ、へへ、いいざまだわ私の和樹に色目を使うからよ、ざまあないわね。」
そうつぶやいてる。
『そうよこの事態は彼女が仕組んだの、彼女が気にかけていた男の子を私たちがとったと勘違いしてね』
なんてことだ、あいつが必要以上におびえていたのはこのためだったのか、
彼女たちが復讐したいのはよくわかる。ましてや霊体になると一つの感情に支配されるらしい。
こんな醜いことができる人間は、守るに値するのか。俺が生き返ってから出会う人間はみな己の欲望ばかりだ、こんな人間たちの生きる世界を守る必要があるのだろうか、あいつの、もう一人のおれが生きていた世界はどうなんだろう。
『あなたは優しいのね』一人の霊体が話しかけてくる。
話しかけてくるだと?まだ彼女たちは自我を失っていないのか。
『そう、私たちはあなたの考える存在ではない、ただ、あの女に復讐したかっただけ』
しかし、無関係な人間も殺してるじゃないか、
『それは違うは、あの二人いや他の人も入れて、殺したのは私たちじゃない』
なに?じゃあいったいだれが、
その瞬間、彼女たちの姿が薄くなっていく、七人あつまって光に包まれている。
どうやら雪音が死んだらしい
彼女たちは復讐を終えて成仏しつつあった。
優しい人気をつけて、復讐に駆られていた時と違い穏やかな表情を見せている彼女たち、どうやら本当に雪音に復讐するためだけにとどまっていたらしい。
疑問は残ったがこれで終わったのだろうか、降ろした武蔵を解除しようとした時、後ろから声が聞こえる。
「まったく役に立たない男だよ大人しく死んでりゃ問題なかったのに」
むごたらしく人をくるしめること。人の道をはずれた行い
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