第17話 宇宙戦艦長門発進!
変形を終えた長門はゆっくりと見島上空に向かう。その形状はほぼ原型を保っていて、外観の変更点は少ない。両舷に大きな翼を備え、艦尾には巨大な推進器が突き出ていた。連装砲塔四基はそのままの姿であった。
「姉さま。これはイスカンダルへと飛び立ったあの宇宙戦艦に酷似していますね」
「そうね、ララさん」
「しかし、艦首にはあの波動砲が付いていないようですが」
「この長門の最終兵器は、例の〝超縮退砲〟なんですよ。波動砲とはその構造や原理が全く異なるのです」
「それはそうですが」
「いくら作者が馬鹿でも、そこまで露骨なパクリはしませんわ。〝超縮退砲〟にはとあるギミックが隠されています。それは見てのお楽しみ」
「わかりました」
ララはミサキの言葉に納得したようで静かに頷いていた。
宇宙戦艦へと形状を変更した長門は、見島上空で艦首を真下へと向けた。そしてそのまま、見島駐屯地に口を開けている異次元ゲートへと突っ込んでいった。
巨大な地下空間のごとき異次元空間は、宇宙戦艦へと変形した長門が進入してもその空間には随分と余裕があった。そして、奥側にある黒い渦……そこは裏宇宙へと繋がるゲートだろう。そこからは先に出現していたゾウタコよりも巨大な生物兵器が次々と姿を現していた。
まるでアノマロカリスのような、全長30メートルもある節足類が空中を優雅に泳いでいるし、全長50メートルはあるザリガニ様の生物が地を這っている。また、全長が100メートル以上あるクジラのような個体も空中に浮いていた。超重戦車オイとヘリオスはそれらに対し果敢に攻撃しているものの、徐々に押されていた。
「ララ様。押されています。さらに支援が?」
ララに報告をしていた黒猫は、宇宙戦艦長門を確認した途端に言葉を失った。
「支援はこれで間に合うだろう。黒猫と正蔵はその位置から援護射撃を続けろ。この宇宙戦艦長門で敵本体を仕留める」
「了解しました」
「了解」
黒猫に続き、正蔵も返事をした。長門はその八門の主砲を一斉に放つ。その41センチ砲弾は、侵入してきた生物兵器群を容赦なくなぎ倒し、引き裂いた。
「続けて主砲斉射。撃て!」
続いて主砲が斉射された。その凄まじい衝撃は、生き残っていた生物兵器群を全て粉砕した。
「長門は全速前進! このままワームホールへと向かえ!」
ミサキの指示に従い、長門艦尾にある推進器から光り輝く排気炎が噴き出した。そして長門は速度を上げ、ワームホールへと突入した。
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