第21話 少年の名は

「森まで燃えちゃったじゃない。

 もう許さないわよ」


王様と人間の貴族を睨みつけるるるる子ちゃん。

兵士達はほぼ全滅。

残ったのはコイツラ。

多分コイツラがあの兵器を使ったのだ。


「もういい、勇者。

 もうやめよう」


「これ以上戦いは見たくないです」

「私たちも傷ついたが、人間たちのダメージもバカにならん」


キスキル・リラと巫女のお姉さんは止める。


怒り心頭のるるる子ちゃん。

むー、あたしを怒らせたのがいけないのにな。

他の人間が言っても聞く耳持たなかったろう。

さすがに巫女のお姉さんやキスキル・リラの言う事は聞く理性が残っていたようだ


「分かった、他の人達は許してあげる。

 王様だけはぶっ飛ばす。

 覚悟はいいわね?」

「ワシ!?」


貴族たちが王を残しサッと隠れる。

博士を連れた研究員も素早く隠れる。

取り残されるオッサンである。


「オマエラー!

 ワシを見捨てる気か」


「当たり前です」

「何故、我らがアナタを助けないといけないのか」


研究員たちの言う事もトーゼン。


「ぐぬぬ」

唸ったオッサン王はいきなり行動した。


「すまんかった。

 ホントすまんかった。

 許してくれ」


ペコペコ頭を下げる。

The・土下座。

平伏低頭する王様である。


るるる子ちゃんは怒りが収まってない。

だって、だって。


「制服のスカート汚れちゃったじゃない」


ホントなのだ。

スカートのはじっこがホンの少し焼けてる。


「許せーなーいー」


怒りゲージMAXのままのるるる子ちゃん。


その時である。


「るるる子ちゃん、落ち着くんだ。暴力は悲劇を生むだけで何も物事を解決しない。

 人間は話し合うべきなんだ」


るるる子ちゃんに声をかけた人物。

言ってる事は無駄に立派。


一人の少年が立っていた。



「あやつ、勇者の知り合いなのか」

「でも勇者様はこの世界じゃないトコロから来たんですよ。

 私達の知らない知り合いなんていないですよ」


「私が召喚したんです、お姉さま」


疑問を浮かべるキスキル・リラと巫女のお姉さん。

疑問に答えたのは召喚の巫女の妹分。

貴族に脅されて勇者を召喚したのだ。


「ではアレが新たに召喚された人間か

 なかなか美少年ではないか」

「勇者と言っても見たところフツーの少年ですね」


「るるる子だって外見はフツーだぞ」

「召喚される元の世界で二人は知り合いだったのでしょう」


キスキル・リラとアブーは納得する。

良かった。

これで勇者の怒りも収まるかも。


「お姉さまに会えて良かった」

「貴方が無事でよかったわ」


巫女のお姉さんとその妹分は再会。

抱き合ってお互いの無事を喜ぶ。


一方、再開した二人。

るるる子ちゃんに声をかけた少年。


るるる子ちゃんの幼馴染。

その名も獅子王暁。


「アカツキくん!」


るるる子ちゃんは叫んでいた。

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