真言

@lbupzvkj

最初で最後の話

彼は人間として生まれた。


彼は父親と母親から生まれた。


父親と母親の血によって命をこの世に受けた。


彼は自分のことを自分だと思っていた。


ある時彼は気づいた。


自分は父親と母親から出来ていることを。


自分のものは何もないことに気づいた。


彼は自分の命は自分のものだと思っていた。


ある時彼は気づいた。


自分の命は父親と母親の命から受け継いだものだということを。


彼は自分の人生は自分の力で切り開くものだと思っていた。


ある時彼は気づいた。


自分の力では自分は生まれていなかったことを。


地球がなければこの世に存在できないことを。


水が、空気がなければ生きていけないことに気づいた。


彼は自分の思考が自分だと思っていた。


ある時彼は気づいた。


自分の思考は言葉によって成り立っているということを。


それまで彼は父親と母親に感謝していなかった。むしろ憎んでさえいた。辛いと思って生きていた。何故こんな間に合うのかと。幸せそうな人を見ては羨み嫉妬した。


両親に対して、何故産んだのか、何故こんな苦しませるのか、何故こんな両親なのか、何故生まれたのか、何のために生きているのかとずっと考えては答えを外に求めていた。


しかしある時からこう思った。


自分の命は両親からできている。


両親は祖父母からできている。


祖父母は曽祖父母から、曽祖父母は、、、と無限に続いている。


原初にたどり着くと、自分は原子生命体である。


男も女もないアメーバのようなホヤのような存在であったに違いない。


そしてその原子生命体の産みの親は地球そのものだ。


地球の木火土金水という五行から自分の先祖はうまれ、命を繋いでいる。


であるならば自分は地球であるはず。


それに気づき、そのようになるには思考を止めることだと。


人は地球の水を飲み、木を実を食べ、体の中の火で消化し、金を体に宿しミネラルとし、骨となり、土にとなり地球へと還る。他の動物もである。


地球は太陽があって存在している。


太陽のエネルギーを受け、太陽系の惑星のバランスの中で存在している。


太陽系は銀河系のバランスの中で存在している。


そして銀河系の中心にはブラックホールがある。


駒のように。


すなわち銀河の中心のブラックホールに生かされている事実を知った。


ブラックホールという根の国底の国に沈むこと。


親鸞も言った。地獄とは一定すみかぞかし。と。


彼は自分の思考を消し、存在を消し、先祖と地球と太陽系と銀河系と宇宙と繋がった。


そこに原点があった。


命の源、時に真言と言われ、時に言霊と言われる、言葉の素があった。


宇宙の平和を祈った


人々の健康を祈った


自分の命、家族の命の存続のためには、宇宙全体の存続が必要だということを体感していた。


だから祈り感謝した。


命を繋いでくださったご先祖様たち、辛かった時代を生き抜いたご先祖様たち、後悔の念を抱き辛く浮かばれない思いを残して亡くなった沢山のご先祖様たちに、


どうか微笑んでください、私はここに生きています


と。


そしてご先祖様の命を育み、全ての生命を育んだ、地球のエレメントに、いつも働いてくれださり、どうもありがとうございます、私はここに生かさせて頂いています、と。


太陽、銀河系、ブラックホール、宇宙の源に、私たちの地球を育んで頂き、どうもありがとうございます、、と。


この思いを、言葉になる前の意念で発信した。


自分自身が空っぽになり、素直に命の表現した。


この世は素晴らしい世界だな、と。


今この時に存在する辛さに押し潰されそうな時ほど、根の国に沈み、地獄に堕ちれば落ちるほど、むしろ体が軽くなり影響されなくなった。


どんなことが起きても、好きな方を無条件で選んで良いのだと知った。善悪は無くなった。


そして選んだ。自分の命の源に、感謝して生きることを。



I am that I am.







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