第23話 ちゃんとやり直そうぜ!ーVer.ふぶきー

「その『好き』とか、『かわいい』とか『きれい』とか………『付き合う』とか、言ってたじゃないですか?」


一度言葉になって溢れ出したその感情は、もう押し込めることなんてできなくて。


気がついたらそこまで言い切ってしまっていた。


私、今まで誰かを好きになったことなんてなかったのに、バーで初めてあっただけの同級生の男の人をこんなに……………になってしまっている…。


「…………はい。」


かなりの時間黙って考えていた彼は、そう小さく呟いた。


………これでもし、知らないと言われたら、酔った勢いだと言われたら………私はもう……。


「それがずっと気になってて、酔っ払った勢いで言ったのか、本気で言ったのかを教えてほしいです。」


私は自分でも驚くほどにしっかりと話せている。


本当に恋って不思議だ。


十何年も生きてきて微かにすら分からなかったのに、たった半日でこんなにも忘れたくないと、離したくないと想ってしまうほどに理解している。


「……………。」


しゅんすけさんは黙ってしまっていた。


…………悩んでいるのかな……それとも…どうやって言えばいいか分からないのか……な…。


「教えてほしいです。」


私は沈黙が怖くて、早く早く答えが知りたくてそう催促してしまった。


振られてもいい、勘違いだと言われてもいい。


……けど、できるのならば、彼にも私を……スキになってほしい。


「す…です…」


しゅんすけさんの声はかすれてしまって聞き取れなかった。


「へっ?」


私はびっくりして変な声を出してしまう。

…………殺すのなら、早くしてほしい……。


「好きです!!付き合ってください!!」


私が完全にマイナス方向に考え始めたその時、そんな、どストレートで真っ直ぐな叫び声が聞こえた。


え……?


私は言われてから数秒はその言葉が何を意味するのか分からなかった。


…………う、うそ……。


「っ!!!!………………」


私がそれを理解したと同時に体温が急激に上昇していく。


私は変なことを言わぬように、頬を抑えてその………こくはくのへの返答を考える…。


えっと、前にお話で見たあの言葉とか……ドラマのあれとか………。


あぁもう!!肝心なときに出てこない!!


「…………こちらこそ、よろしくおねがいします。」


色んなセリフを考えたけど、どれも私と彼にはすこしおしゃれすぎるから…………。


ベタだけど、私は等身大の私自身の言葉で、そうお返事をした。


「っ!!よろしくおねがいします!!!!!」


少しの沈黙の後に、彼のそんな喜びの雄叫びが聞こえてくる。


「もうっ!声が大きいですって!!」


白石 吹雪しらいし ふぶき、二十歳。

人生で初めてのお付き合いをはじめました。


彼は少し変で少し普通じゃないけど、そんなことを遥かに上回る優しくて面白い人です。


                  ーFinー

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