第18話 それぞれの発狂ーVer.しゅんすけー

「なんであんなことしたんだぁ!!!」


俺は自分の部屋の壁に頭を打ち付けながら叫んだ。


痛い!!でもそれよりも後悔のが強い!!


「記憶がない!!正確な記憶はない!!なのにやらかしたってことだけは分かる!!」


俺は自分の記憶のなさと何かをやった過去を自分を呪って、頭を打ち続ける。


痛い!痛い!過去の俺死ね!痛い!痛い!何やらかしたんだ!痛い!痛い!まじ変なことしてんなよ!痛い!!


「くっそ、俺は何をやらかしたんだよぉ!!」


今までゴンゴンと打ち付けてたののスパンを短くして、コツコツコツと壁に小刻みに頭を打ちながら叫ぶ。


痛い………けどこれ、ちょっと気持ちいいような……。


いかん、このままだと俺の開いてはいけない扉が開きそうだ。


「やらかしたくせに、ちゃっかり連絡先だけはゲットしてるし……。」


俺は頭だけで体を支えて、スマホの画面に映る『白石 吹雪』の文字を見つめた。


「やっぱ、ここはなにか打つべきか?」


彼女とのまだ一言もやり取りがないチャットルームを開いて俺は自問する。


「『楽しかったです!良ければまた行きましょう!』とか、『最高でした!!もう一回行きたいですね!』とかとか、『また行こうぜ!』とかそんなのを打つべきなのか!!?」


一晩とはいえデートと言っても差し支えのないようなことをしたんだから、そういった感想を述べるべきなのか!!?


でもなぁ、俺から先に打ったら『うわぁこいつがっついてる嫌やー』とか思われそうでこわい!!


「だめだぁ!!!!!!俺には無理だぁ!!!!もうダメだぁ!!!!!」


俺は一際大きく頭を振りかぶって、思いっきり壁に打ち付けた。


「あぁぁぁぁぁあぁっぁぁぁぁぁ!!!」


痛みと迷いとやらかしが複雑に絡み合った変な感情が抑えきれなくなって、俺は自分で意味のわからない声で発狂する。


これ後でお隣さんとかに怒られそうで怖い…。


「ん?誰からだろう?」


俺が叫び過ぎで息切れしていると、不意にいつもは保険会社の連絡しか来ない俺のスマホがなり始めた。


なんだろう、前回よ『老後も安全!子供に少しでも貯蓄を!!』プランはお断りしたはずなんだけどな……。


俺はスマホを取り出し、ロックを解除して見る。


「っ!!!」


通知が大きく表示されたそこには…………。

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