習作置き場(元・怪談のような短編置き場)

ぶいさん

第1話 深夜2時の水音

 これは私の体験した怖い話です…。


 深夜にね水音がしたんです。雨かな?と思って窓を開けると庭をはさんで向こう側の近隣の住民が水をまいていたんですよ…。

 どうしてこんな時間に…?気味が悪いなって思いましてね…、声をかける?ただ水をまいているだけですからね、変にトラブルになっても怖いじゃないですか。ご近所さんですし、私は引っ越してきたばかりでこれからも住む予定ですので。

 私は見なかったふりをしてそっと窓を閉めて、その日は寝直したんです。

 しかし、翌日の夜も深夜2時きっかりに水音がしたんです。

 

 怖いなあ…怖いなあ…!って思いながらも誰に相談もできず、水音がする以外に特に騒ぐわけでもなし、窓を閉めていればそんなに気になる音でもない。窓を閉めてヘッドホンで音楽でも聴いていればいい。

 そんなことが連日続きましてね。でもどうにも気になる。直接聞きに行くのは怖いものだから、あるとき大家さんに「近所のあの家は何をしているんでしょう」って聞いてみることにしたんですよ。

 でも大家さんは言葉を濁して苦笑いを返すばかりで、答えらしい答えは教えてくれませんでした。


「あら、あそこのおうち?仕方ないのよ、あそこのおうちは…」

「そうは言っても毎日毎日深夜2時に水音がばしゃばしゃしてうるさいんですよ…怖いですし…」

「まあ、そうよね。でもね、水をまくだけで無害だから…」

「私は最近気付いたんですが、前からなんですか?」

「ああ、鈴木さんはここに越してきたばかりだものね、そうなのよ。前からここらへんじゃあ恒例でね…名物って言ったら変だけど、深夜2時に全裸で水浴びをしているだけだし…─


_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_

> (私の心の声) な、なんだって…全裸で水浴びを…!? <

 ̄丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫丫 ̄


─以前から、わいせつ物陳列罪で何度か逮捕されているんだけど、全然直らなくて…これ以上警察沙汰にするのも面倒でねえ…」


 私は、賃貸自体に瑕疵があるわけじゃないのに、事故物件のようになってしまったこのアパートの持ち主である大家さんが不憫になったと同時に、機会があったら全裸水浴びをどうにか見てやろうと思った。あと匿名で通報もしようと思う。


 


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