一日一編集『夏』

朶骸なくす

電話と蜃気楼

夏休みに入ってから電話が泣かなくなった

元々泣くより震える方が多い

帰る日も震える

まだ電話があった頃は「どうしても」の日

声を聞かないと忘れてしまうので

名前もわからなくなってしまうので

一定間隔で話さないと顔も忘れてしまう

LINEに残されるメッセージも霞む

意味がわからない文字の羅列は酒に酔っている

交流はどうだったか

会うほどの人か

遊びに行くほどの人か


どんどん現実が離れていく感覚がする

それを悲しいとは思わない のは

声も顔も思い出せない 他人 になったから


故郷は田んぼが続く場所で

暑すぎると蜃気楼が見える


ワタシは そこにいる

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