麗奈さんとデート……だと
ある日の授業中、となりの悪魔から手紙がそっと俺の机に置いていたのだ。やけにオシャレな手紙を使っている、ただイタズラにこんなの使う?。
俺は悪魔からの手紙を開け、中身を先生にバレないようにそっと机下で開けた。
『大好きな結翔くんへ
明日、デートへ行きませんか?結翔くんの予定はなにも入っていないはずですから特に問題ないと思います。学校も休日ですし、良かったら一緒にどうですか
結翔くんの大好きな麗奈より』
内容が怖すぎて一瞬気絶であの世に行ってしまった。待て待て、俺は麗奈恐怖症だぞ?その本人からデートの誘いなんて、無理..........。
ちらっと隣を見ると、期待の目に俺をまじまじと見ている麗奈さんがいたのでロボットのように一定の速度でゆっくりとまた手紙に顔を移した。
無理無理無理無理無理無理無理無理
無理なですけど?!あんな顔されたら断りづらいけど怖いんだよ!
うぅ、うちの妹を使って明日用事を埋めるべきだった。結衣は基本俺優先だから、欲を言ったりせずどこかに行きたいとかないらしい。
「お兄様の行く道が結衣の道ですから!」だそうだ。くそっ、今からだとだめか?だめなのか?
もっ、もう一回だけチラッと...........。
俺のことすんごい笑顔で見てます!
怖いですよ麗奈さん........。
手紙のしきたりとか取り敢えずなしで、俺は手紙の裏に
『断っても大丈夫ですか?』
当たり前だが、『大好きな〜』なんて入れるはずがない。
そう、書いてそっとその手紙を麗奈さんの机に丁寧に置く。
ニヤついた麗奈さんが渡したその手紙を開けて見てみると、一瞬顔に影がかかり表情が分からなくなってしまった。
あれ、怒ってる?。
「じゃあ北村くん、上から4行目から最後までください」
「はっ、はい」
先生に急に呼ばれ、慌てて教科書に目を移し席を立つ。
「俳句には、季語など〜〜」
「パキッ!」
ビクッ!
えっ、なんの音?!
急に響いた何かが割れた音がした。
「どうしましたか北村くん?」
「い、いえなにも」
みんな俺を見ないでくれ、何もなかったはずだから!
俺はビクビクしながらも続きを読んだ。
「〜になります」
「はい、ありがとうございます。北村くんが読んでくれた通り〜」
ふぅぅ..........。
取り敢えず読み終えたが、俺は恐れていた。隣の破壊音に。
「北村くんが断るなんて、おかしいよね。何かあるんだよね。きっと違うよね」
怖い、怖いよこの人!
ボソボソと怖いことを言いながら麗奈さんは片手に折れた鉛筆を持っていた。
もう、それはバッキバキの鉛筆だった。
ウフッと笑顔をこちらに向けて、手紙をそっと返してきた麗奈さん。
俺は、地獄の閻魔大王様からの招待状を受け取ってしまったらしい。
これ以上、俺が逆らうと犠牲者が出かねない。
そう思い俺はその誓約書に
「はい、行かせてもらいます」
とサインをしてしまったのだ。
ごめんよ、結衣。
遊んでやろうかと思ったのだが、変な人に捕まってしまった。土日くらい、どっかに行こうと思ったのだがなぁ。
「ふふふ、ふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふ。大好きな結翔くんとデートデートデート。」
その後の授業中ずっと俺は頭を抱えていた。
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