第6話

第6話

クリスマスが過ぎれば一年が終わるのもあっという間のこと。今日は12月31日大晦日である。


いつもの4人グループは仲良く4人で年越しをするつもりらしく昼から集まって海斗の家に来ている。なぜ海斗の家なのかというと海斗は4人の中で唯一一人暮らしをしているからだ。


「よし! 今年あったことを振り返ろう!」

元気よく年末にもってこいのことを言い出したのはコミュ力の塊柚華だった。


こうして始まった振り返りゲーム。最初は柚華から始め、続いて海斗、氷緒、夏樹の順番だ。

ルールは1ターンにつき一つ思い出を話すだけの至ってシンプルなものだ。


「え〜っとね……あ! 初めてなつくんにあった時に女の子だと間違えて抱きついたこととか?」

「「「懐かしいね」」」

声をそろえる3人。

「私はその事件生で見てないから惜しいなぁ……。」

クラスが別だったこともありこの事件を氷緒は見ておらず話を聞いただけだ。


この事件の詳細を話すと、入学式後の放課後すでに海斗と仲の良かった柚華は童顔の夏樹を見て女の子だと勘違いしていきなり抱きつきしばらくの間夏樹は柚華恐怖症になっていたという伝説がある。初めからツッコミどころ満載の柚華だが持ち前のコミュ力は3人も尊敬している。


「次海斗だよ〜」

「おう! 俺はあれだな。初めての試合にみんなが応援しに来てくれたことかな」

「意外と真面目なこと言うんだね」

「あははっ確かに!」


サッカー部に所属している海斗の高校初めての公式戦出場を3人で応援しに行ったのは3人にとってもいい思い出だ。


「私はやっぱり夏樹と初対面で2人で帰ったことかな」

「あれには私もびっくりしたよ! コミュ障の2人が次の日謎に仲良くなってるんだもん!」


信じられないような話だが氷緒と夏樹は比較的家が近く電車の最寄りも同じためはじめましてのタイミングで2人きりで下校したのだ。


「なんか氷緒はオーラが僕にピッタリでこの人なら話せるって思ったんだよ」

「なる〜。ん? 今なつなんて言った?」

「え? オーラがピッタリ」

「そんな古典的なボケはいらん! その前だよ氷緒って呼び捨てしなかったか?」

「したけど……?」

「お前成長したな! お兄ちゃんは嬉しいぞ……!」

「恋人なんだからいいでしょ……それに私が言わなかったら多分夏樹まださん付けしてるよ」

「うっ……」

痛いところをつかれた夏樹。盛大に惚気る氷緒に呆れる海斗と柚華。場は盛り上がっていた。


「僕か……。ん〜僕はね海斗と初めて話した時かな」

「あ〜! 第一声が『お前友達な!』だからな!」

「本当にびっくりしたよ」


コミュ力お化けの海斗は初対面の夏樹に自己紹介をするでもなくいきなり『お前友達な!』とまさかの友達宣言をしたのだ。



こうして懐かしい思い出話をしながら4人はゆっくりと時間が経つのを待っていた。

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