神々の選んだ錬金術師
すいな
エレメント王国
「ふむ、お前は普通の名で収まる器ではないな。ではお前には、アイテルという名を授ける」
そのなんだかわからない人らしきものは俺にそう言い、一見何も入っていないような瓶を開けてひっくり返し、俺の上に持ってきた。
涼し気な空気が頭の上からそよそよと降りてきて、俺は胸いっぱいにその空気を吸った。
そこからの景色は、ぼんやりとしていてよく見えなかった。
ただ、最後にその人影が喋ったことだけは、脳に直接響くかのように鮮明に聞こえた。
「お前に授けた名前とは、わしの兄弟の名前、つまり神に匹敵する。職業は、錬金術師じゃ」
============================================================================================
ふかふかのベッドに寝ていた俺を、誰かがゆすっている。誰だろう…
「…-ケ様!ニーケ様!起きてください!」
俺は薄く目を開けた。メイドのリンが俺を起こそうとしていたらしい。
「どうしたの、リン?」
「あなたのお母さまがニーケ様をお呼びなんです」
リンは眉を下げて困り顔だ。うーん、俺が呼ばれているのか。誰だっけ、えーっと、母さんk…
俺は真っ青になった。母さんに呼ばれているだと?
母さんは時間にめちゃくちゃ厳しいんだ。遅れたら…精神的に殺されるな…
「それはやばい!急がないと!」
そういって俺は部屋を飛び出した。
俺はニーケ・ラドニクス。15歳だ。
俺の住んでいる国、エレメント王国での成人年齢は16歳。あと1年したら俺も大人だ。
廊下を全力疾走しながらの自己紹介でごめんな!
この国での成人の定義は年齢だけではない。王国での職業が決まったら大人になる。
職業を決める、と言っても自分で職種は決められない。いつの間にか決まっているのだ。
親や使用人、乳母たちは「神様が決める」というが本当のところはわからない。
ただし、時期が来ると自分の中に職種を決める、もう一つの名前がストンと落ちてくる…らしい。まだ俺は落ちてきていないからわからないが…。
もう一つの名前がもらえると、体に変化が起こる。
まず、戦闘職種。職種がこれになるときのもう一つの名前は「フェルム」だ。
この名前をもらった人たちは、体が普通の人より強靭になる。また、運動能力があがる。まあ、戦闘に必要な力が一通り向上するような感じだ。
2つ目に、魔法を扱う職種。この人たちの二つ名は、「アールム」だ。
この名前をもらった人たちは、「魔力」とやらが手に入るらしい。俺にはよくわからんが、それをもらえないと魔法が使えないそうだ。
3つ目に、商人など商いをする職種。この人たちの二つ名は「カーム」だ。
この名前をもらった人たちは、計算能力や管理能力が向上する。また、コミュニケーション能力も上がるそうだ。俺にはこれらの能力がうらやましいよ…
まあほかにもいろいろとあるんだが、今のところ名前をもらえていない人はいないらしい。
ちなみに、この名前は個人の力量はもちろん反映されるのだが、加えて個人の意向も結果を左右するらしい。力量よりも意向の方が優先されやすいようだ。いい話だなあ。
俺がなりたい職業は、もちろん戦闘職種だ!この国のモンスターをすべてなぎ倒して、いつか魔王に挑戦して勝てるくらい強くなりたいんだ!
そんなこんなで母さんの部屋につくのに2分かかった。やばい殺される…
「失礼します…母上」
ギギイッと重い音を立てて扉が開いた。
「ニーケ、入りなさい」
母さんの声がした。
俺は恐る恐る部屋に入った。
=====================================この作品は、「小説家になろう」でも公開しています。
URL:https://ncode.syosetu.com/n0096gv/1/
ちょっとずつ公開していきますので、どうぞよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます