味わい

とあるレシピに

「砂糖 大さじ2 塩 小さじ1」

と書いてあったら、砂糖を大さじ2杯、塩を小さじ1杯入れなければ美味しくはならない。

「それなら、塩を入れないで砂糖の量を小さじ1杯分減らせばいいじゃん」って


「そういうことではない」


仮に砂糖と塩を同量ずつ入れても、無味にはならない。



もしも、風景画を描いている人に向かって、「スマホ持ってないの?写真で撮った方が早くない?」と言っている人がいたら


「そういうことではない」


と言いたくなるだろう。

今、目の前に見えてる風景を形として残したい気持ちは同じかもしれないが、それよりも絵を描くこと自体が楽しくて描いているのだ。



電子版があっても、紙の本で読みたい気持ちも同じかもしれない。

確かに、電子書籍は場所も取らず便利だが、本の内容や著者によっては直接本を手に取りたくなる。

「書かれている文章、受け取れる情報は同じじゃないか」と言われたら


「そういうことではない」


と心の中で言いたくなる。




もしも、機械が効率や論理だけを基に「生きる意味はない」と結論を出したとしたら


「そういうことではない」


と釘を刺しておきたい。



望みが叶わないとしても

不幸の方が多いとしても

いつか必ず死ぬとしても

効率的でないとしても

論理的でないとしても



「そういうことではない」



意味は必ずある。

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